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なんか変な日中~その(2)

ちさとが泣き止んだタイミングを見計らって、パンを渡す。

叶花「ほい、このパン食べてみ~、何が練り込んであるかを1発で当てたら、秋冬用のワンピースを買ってやるぞ」

ちさと「本当!?じゃぁ意地でも当てなくちゃ。パクッ、モグモグ…」

叶花「かなり難しいそ~、当てられるかな?」

ちさと「当てるっ!!モグモグ…。う~ん、抹茶じゃないのは確かとして、ほうれん草だったら、もう少しエグ味があるしかいわれだったら火を通したら残念な味になっちゃうし…?」

叶花「ふふ~ん、そう簡単に当てられちゃったら面白くないしなぁ」

ちさと「ちょっと前の流行りならクロレラ、今だったらミドリムシ…でも、明らかに野菜の味がするし…、てことは、ベビーリーフかチンゲン菜のどっちか…う~ん、じゃあ…チンゲン菜っ!」

叶花「残念っ!もしベビーリーフだったら、一部正解だったんだけどな~。ちなみに、答えは「小松菜」。「つまみ菜」でも正解」

ちさと「え~っ、難しいよそれって!!」

叶花「一応は、ここいらの名産品なんだけどな、小松菜」

ちさと「ニンジンとかだったら、当たるのに~~!!」

叶花「人参ねぇ…それは多分一発目は外れるよ。答えは多分「オレンジ」「ミカン」「デコポン」のうちのどれか、になるだろうし。柑橘系だったらイースト発酵の邪魔になるから酸味を無くすし、香りは焼いたら飛んじゃう。残るのは、大抵が甘みだけ」
 
ちさと「へぇ、そうなんだぁ。じゃぁ、あからさまに「オレンジです」って味の付いてるパンってどうやって作るの?」

叶花「フツーだったら、ホワイト・キュラソーっていうお酒を加えるの。色はβカロチンで十分。もっと風味を加えるんだったら、オレンジピールって手もあるかな」

ちさと「ねぇ叶花、そこまで判るんだったらパン屋さんでもいいのにって気がするんだけど…」

叶花「パン屋は朝が早いからムリっ!ww」

ちさと「あはははっ、凄い明確な答えだね~」

叶花「学校の調理実習で、パン作ったことある?」

ちさと「うんっ。仕込みの時間が大変なのはよ~く判るよ~」

叶花「多分、前の日に仕込んでおけばラクなのに、って思ったでしょ?」

ちさと「うん。叶花のその口ぶりだと「それじゃあ失敗するんだなぁ」って言いそう」

叶花「よく判ってるじゃん。ま、実際にパンクしちゃうから大失敗になるんだけどね」

ちさと「ケーキはそんなに難しくないのに、何でそんなに違うんだろ?」

叶花「裏技を使えば、パンでもそんなに時間はかからないんだけどね…ってゆうか安いパンは大抵がその手を使うんだよ」

ちさと「えっと…スーパーで売ってるパンは安いけど、パン屋さんのパンは高いのはその違い?」

叶花「ま、そんなところ。重曹で膨らませて、イーストの「風味」をつければパンになる」

ちさと「え~!そんなのってアリなの!?」

叶花「今度、スーパーとかコンビニでパンを買ったら成分見てみ~。絶対に「イーストフード」か「発酵風味料」って書いてあるから」

ちさと「なんか…食品偽装なすっごく旬なネタに近いんだけど…」

叶花「安いものには、ちゃんと理由があるんだよ。そのかわりに、もしもちゃんと作ったら、高すぎて買えないなんてことも多いよ」

ちさと「う~む…、一見、安物を駆使する叶花とは思えない発言だね」

叶花「そうか?別に、理由もなく安物を選ぶわけじゃないんだよ。成分があからさまに変だったら買わないけど、至って普通だったら安いほうがいいって、その位しか理由はないけどね」

ちさと「確かに、叶花の周りに置いてある物って、殆どが安いなりの理由があるものばっかりだもんね」

叶花「そうだよ。例えばうちのメインPCは周辺機器を含めて、み~んな理由があって格安なものばっかりだからね~」

ちさと「う~ん、確かに…。でも、どうやってそんな情報を仕入れてくるの?」

叶花「そうだねぇ…、Webサイト見てるだけでも駄目だし、お店を回るだけでも駄目。どっちも連動させて考えてるから、かな。良い品をより安く!って考えると集める情報は大量だよ~」

ちさと「う~む、私じゃそんなに記憶力良くないから難しいなぁ…」

叶花「あたしだって、そこまで記憶力良くないよ。めぐみ@紫色吐息だったら覚えてるかもしれないけど…」

ちさと「え、お姉ちゃんが?確かにメモってる事を見たことないけど…」

叶花「メモってる暇があったら、スクーターで次のお店へ行くでしょ、あの子のことだから」

ちさと「私も早く免許取りたいなぁ…って、はっ!…今のって禁句だった…?」

叶花「余計な所まで気を回さなくてもよろしい」

ちさと「…あ、あははは…」

叶花「まぁ、店の中でメモを取るのはどうかと思うけど、出てすぐにメモってから比較する分には、全然問題ないんじゃないかな?」

ちさと「そっかぁ、みんな工夫してるんだね~、色々と」

叶花「とはいっても、お姉ちゃんの真似はするなよ?姪が事故起こしてないか?とか心配だからさ」

ちさと「そっかぁ♡私にも心配してくれるんだぁ~」

叶花「そりゃ当たり前だろう。血の繋がった姪なんだからさぁ。てか、事故起こしちゃったら、すぐに電話くれよ?対応出来る人なんてそうそういないんだから。それこそ、あたしで片がつかないっていうのなら、叔父さんにすぐ応援頼めるんだから」

ちさと「うん、じゃあ気をつけて運転するね♡」

叶花「ちさとは、普段だとチャリ通だろ?最近は、チャリでも厳しいんだから、万が一があったらすぐに電話よこしてくれよな?」

ちさと「うんっ♡」

叶花「まぁ…うちの一族はみんな傷害保険には入ってるから、本当に大変なことになっても守ってはもらえるし…」

ちさと「私も傷害保険に入ってるの?」

叶花「もちろん!てか、ちさとがチャリ通って知ってすぐに、おまえさんのママに言って入れるようにさせた」

ちさと「叶花ぁ…そんなにまでしてもらっちゃうと、嬉しくってまた泣いちゃいそうなんだけどぉ…」

叶花「まぁ、頼れるって思えるんだったら…我慢しないで、いくらでも泣いていいんだよ。その方が、ココロには健康だしね」

ちさと「……うんっ!!」

なんか、どっちが慰め役になってるのか判らなくなってきたけど、たまにはこうゆう「休みの日中」があってもいいのかもしれない。そうか!あたしが福祉で足りていないって思ったのって「それ」だったんだ。大事なのは、無理に平和な生活を作ることよりも、人間は心のなかのどこかでは必ず「甘えたい」って気持ちがあるんだから、どう応えるか、だったんだ。そんなのは、さっぱり学校では教えない。単なる「形だけ尊厳を保つ」手法だけ。しかもみんな「客観的な傍観者」。これじゃぁ、施設に入った利用者は誰も幸せな最期は送れないよ…。

なんか変な日中~その(1)

普通に役所と保健所に提出する書類をまとめるつもりでいたら(月末に上げると反映されるのがすぐになるから、何かと便利)、

ちさと「おはよ♡朝ごはん持ってきたよ~」

叶花「ありがとう…って学校は?」

ちさと「仮病」

叶花「…要するに、エスケープな訳ね」

ちさと「その通りっ!誰だって、学校や職場に行きたくないとか、行くよりも大切なことがある、ってことあるでしょ?」

叶花「そりゃそうだけど…時間に厳しい爺さん(叶花のパパ)や婆さん(叶花のママ)」に怒られるんでない?」

ちさと「ん~「生理休暇」は立派な休みの理由になるよ」

叶花「…んで、わざわざアスピリンまでもって装ってる訳ね」

ちさと「その通り!救急箱の中の鎮痛剤が減ってたら、いくら何でも判るでしょ」

叶花「…はい、もしアスピリンのむなら、制酸剤も一緒に飲んでね。胃ぃ荒らすから」

ちさと「うん、ありがと♡叶花の薬のストックは助かるわぁ~」

叶花「で、朝ごはんは食べたの?空腹にNSAIDsは危険だよ」

ちさと「これから叶花と一緒に、だよ。叶花が今まで貯めたお薬のノートを開けば、いくらでも予防策はかいてあるじゃない」

叶花「確かに、それを防ぐためのPPI(プロトンポンプ阻害剤)はストックあるけど、ちょいと医師の診断は厳しいから、そうしょっちゅうは使えるものじゃないしねぇ…」

ちさとの、生理中の2日目の痛みは強いから「重たい」のは判ってるから、効果的なのは判る。とはいえ何も、PPIまで使わんでも…、ま、後でムコスタが残ってたらそれ渡そう。

叶花「ところで、ちさとが今、持ってるお薬の山はなんじゃ??」

ちさと「叶花用の眠剤と精神安定剤。意地でも免許センターにいくつもりはないだろうから、ぱぁっとお昼寝タイムに入っちゃいましょう~」

叶花「まぁ、良いといえば良いんだけど…それはともかく、何でそれだけの理由で学校をサボることにしたの?」

ちさと「ん~、大きく言っちゃえば「人間宣言」の助け舟」

叶花「…まぁ、気持ちは嬉しいのだが、何も休まなくても…」

ちさと「あらぁ?「SSRIの自殺発生メカニズム」を書いてた人の言うセリフかしらん?割りと誰でも判るようにぴっちり書いてあったじゃん?」

叶花「…まぁ、そうまで言うのなら止めないが…」

ちさと「じゃぁ、今日1日は甘えてもい~い?」

叶花「そこまで眠剤と精神安定剤をピッチリ揃えられたら、いくら何でも駄目とは言えんだろう。…それにしたって、何か僅かに多いような気が…?う~ん、殆どは寝る前の普段通りとして…デパスが2つ多いくらいはいいけど、×××と×××は要らないんじゃないかい?」

ちさと「すごぉい!シートから出した薬、全部当てちゃったよ!!」

叶花「仮に、全部が白だとしたって、飲み慣れれば判るって…」

ちさと「もし、ビタミン剤が混じってたらどうかな?ニマニマ」

叶花「味と舌の痺れ具合で当てるわ、その位だったら…」

ちさと「へぇ…、そうゆうものなんだぁ…」

叶花「甘いのがコートしてある場合は、番号が濃く書かれてるし、そもそも間違って困る薬と大きさが変えてあるの。腸まで溶けちゃ困るのは、割線が入ってないし、特徴的なのは色が変えてあるからね」

ちさと「あ~、それで判るのかぁ。あ、叶花のお薬をまとめたレポートにも「間違いやすい薬」で書いてあったよね、色々と」

叶花「あ~、それないと、もし1個お薬を落としちゃって見当たらなくなったら、何が足りないのか判らなくなるでしょ。逆に、前に転がっちゃったのが見つかった時に、何のお薬かが判る仕組み」

ちさと「…叶花、もしかして福祉の方じゃなくって…」

叶花「それ以上は、言わないこと。過ぎ去った過去は、あ~こんなこともあったんだなぁ、になるから思い出にもなる」

ちさと「うん、じゃぁ…言わないっ♡ さ、朝ごはん食べよ」

叶花「そうだな。じゃ、叶花は先ず食前のお薬から…」

ちさと「え?別の缶にも入ってるの?」

叶花「うん、用途別なもんだからね。で、仮病?本当に生理痛?」

ちさと「ん~生理痛は嘘じゃないよ」

叶花「ほい、じゃぁこれ食前ね。胃を荒らさないから安全だよ」

ちさと「ん、ありがと♡」

(注意 ※ お薬は勝手にあげたり貰ったりしてはいけません)

叶花「じゃ、食べよっか。いただきまーす」

ちさと「いだだきまぁすっ♪ どれから食べよっかな~」

叶花「まぁ、ここまでパンの種類があったら迷うわな。あたしゃ、ちさとの手作りのサニーサイドから…」

ちさと「え!?どうして目玉焼き1つで誰が作ったのかわかるの!?」

叶花「クスクス、さぁ…なんでだろうね~。パクっ、モグモグモグ…」

ちさと「………」

叶花「もしかして…感想が欲しい?」

ちさと「…うん」

叶花「そうだなぁ…85…いや90点かな?」

ちさと「お~、結構いい点出てきたよ~♪で…残りの10点は?」

叶花「ちょっと玉子に火が通り過ぎで-15点、あとはベーコンのカリカリ具合が丁度いいから+5点…かな?」

ちさと「あ、言われてみれば確かに黄身がちょっと固いかも…」

叶花「固めの好きな人には丁度いいだろ、その位で。単に、叶花が半熟好きなだけのこと」

ちさと「じゃぁ、次回頑張ってみるっ!! …って、ソースもお醤油もいらないの?」

叶花「ここまで、微妙なほど適度に塩を上手に振ってあったら、他に味付けしたら失礼だろ?」

ちさと「え~!!そこまで見抜いてたんだ!!でも、そのままでいいなんて嬉し♡」

叶花「じゃぁ、パンはシンプルにトーストにハムを乗っけて~」

ちさと「って、え~!?パンにワサビつけるの!?」

叶花「実はマヨネーズには、マスタードよりもワサビのほうが相性がいいんだよ。ちゃんと理由があるんだけどネ」

ちさと「うん、試してみるっ!!パクッ、モグモグ…… え?何で辛味があるのにまろやかなの!?」

叶花「答えはカンタン。ワサビに辛味をつけるには、実はお砂糖が欠かせないんだよ。ただツーンと辛いだけじゃなくってね」

ちさと「へぇ…知らなかった。でも、それだけじゃないような…」

叶花「意外と知られてないんだけど、パンって結構塩分多いんだよ。じゃないとイーストが育たない。それと、日本のマヨネーズってちょっと、塩味と酸っぱさが多いから、実はワサビはバランスがいいのさ」

ちさと「それでなのかぁ! …そういえば、叶花のお部屋でお食事なんて久しぶり~」

叶花「ま、何も好き好んで「美味しく感じない場所」で食べたってしょうがないでしょう…」

ちさと「あ…、それでなのかぁ…」

叶花「別にちさとが落ち込むことじゃぁないだろう?あたしゃあたしで選んだのが、こっちだったって事なんだし」

ちさと「…人間の偏見って怖いね」

叶花「そうだな。でも、全く偏見のない人は見たことはないけどね」

ちさと「でも「精神異常者」っていうのは、ちょっと酷すぎる」

叶花「ちさとは…叶花のことは「変人」って思わないかい?」

ちさと「変人…かぁ。あ、それなら確かに変人だww」

叶花「精神障害なんて全くなく見えるかい?」

ちさと「こうやって喋ってると、そうは見えないけど…一人でぽつーんとしてたら、うつな人」

叶花「だろ?どの側面を切り取ってみるかで、人間って違って見えるんだよ」

ちさと「じゃぁ…精神障害者って先に話を聴いてその人にあったら…」

叶花「そ。考え方はそれと全く同じ。それで本気で、変って思ったら、見事なくらいの「精神異常者」になる訳だ。でも、まだマシなほう」

ちさと「…それでも、まだマシなの?」

叶花「うん。人によっては「精神障害者=キチガイ」って見る場合もある」

ちさと「…キチ…」

叶花「この時代だから「キチガイ」って言葉は使っちゃいけないって言われるけど、もっと昔だったらどうかなぁ?」

ちさと「………」

叶花「ん?ちさと…もしかして泣いてる?」

ちさと「ん……」

叶花「なんか立場が逆っぽいけど…泣いてたら、せっかくのご飯が美味しくなくなっちゃうよ、ねっ」

ちさと「ん…そうだね…」

叶花「まぁ、時間はたっぷりあるんだし、ちさとが落ち着いたら、のんびりと一緒に食べようよ」

ちさと「…うん」

コレラ飯

クーデターが発生し、王子は地下室に監禁された。

そして、テロリスト集団は、最初は王子を暴行するかに思われた。
しかし、何らかの交渉があったらしい。その日から、王子は20日を如何にして生き抜かれるかを試させることになった。

その内容は、3食はちゃんと与えられる。生きるために必要である最低量の水分は与えられる。ここまでであれば、王子は安静にしていれば生きて監房を出ることが可能であることを示している。

しかし、テロリスト集団は、王子の生命を運に任せることした。

その食事名を「コレラ飯」と名づけた。

原理は至って簡単だ。1日3食のうちの1食は、コレラ患者の便をカレーライスのようにかけたものであり、残り2食は通常の便をかけたものであり、発病しても、軽微な食中毒程度となるから、最低限の水分が存在すれば生き抜くことが可能である。
しかし1度でもコレラ菌の含まれた「コレラ飯」を食べてしまったら、コレラ菌の感染で、著しい量の水分を米のとぎ汁のような便とともに体内から水分が奪われ、それは死を意味する。
また、前述の最低限の水分は、コップを差し出され、その場で飲むことを命じられるのみである。
王子が賢いのであれば、コップに自分の尿を貯めることを思いつくであろう。水を飲み終えたコップは、直ちに片付けられる。

ここから王子の生き残りが試された。

さて、何故生き残れるのかを説明しよう。1日3食とはいえ、実は2食分の栄養で生きることは何とか可能だ。また、食料にも水分が含まれていることを勘案しても、暴行を受けたり、著しく悪い生活環境でなければ、死ぬことはないだろう。事実、寒暖は安定されており、衣服から寝具まで揃っている。

但し、1日1回の「コレラ飯」を食わなければ…である。

確かに、テロリスト達の一部は、万が一の事を考え、これといった害を加える事はなるべく避けた。それ以外の者は「王子は既に死んだもの」と捉えている。

監房に押し込められてから1日目、最初に食事を持ってきた者は、全てのルールを説明した。最初、王子は「便をかけた飯など食えるか!!」と怒号した。しかし、20日合計60飯のうち40飯を食わねば生き抜くことは出来ない。通常は好んで便をかけた飯などを食おうとは思わないだろう。

しかし、暫く拒み続けた王子も、自分の置かれた状況を知ったら、今までの王子という誇りなどは不要である。また、自分の運は生死のみであることは、それなりに賢ければ判るだろう。ならば、コレラ菌の含まれていない便混じりの飯を食うしか無い。

最初の飯は、コレラ菌が含まれていないことを告げられていた為、号泣しながらも、その悪臭の立ち込めた飯を腹に収めた。

2食目は6時間後に、最初に食事を持ってきた者によって監房に持ち込まれた。言うまでもなく便をかけた悪臭の立ち込めた飯であり、拒むことの意味の無いことを知り、それが「コレラ飯」で無いことを祈りつつ、腹に収めた。

3食目は6時間後に監房に持ち込まれた。しかし王子は暫くした後に「これは私は食わぬ」と拒んだ。

こうして1日目が過ぎ、王子は眠りに落ちた。

2日目、王子は叩き起こされ、その日最初の悪臭の立ち込めた飯を差し出され、しばらくした後にその飯を腹に収めた。

この後は、ただひたすらコレラ飯で無いことを祈りつつ、腹に収める物を選び続けた。当然3日目も同様である。

4日目、王子は茶色い下痢を肛門より噴出した。王子は、今まで腹に収めたもののどれかが「コレラ飯」でない事を祈った。しかし、その後に1~2時間経過しても、排便を催さない。つまり、現時点で判る限りは、まだコレラを発症していないことである。

つまり、少し前の下痢は単なる食あたりである。しかし、水分はあくまでも最低限であることを考えれば、3食中2食は食わねば命を保つことは到底出来ない。

6日目、王子は茶色い下痢を肛門より噴出した。さすがの王子も命運が尽きたかと思い覚悟をし祈りを捧げたが、またしても1~2時間後に便を催すことはなかった。つまりコレラは発症していない。

しかし、いくら食あたりとはいえ、水分の過剰な排泄は命に繋がる事位は王子は判っている。かろうじて意識は保っているが、脱水症状が進んでいることは確実である。生きる為には、2食を腹に収めることと、僅かな水分を飲むことは欠かせないものであるのは間違いない。

そのような一進一退を繰り返し、16日目。クーデター集団の中で、誰かが命乞いの為に裏切っているのか?もしくは、王子の運が極端に長けているのか?

こうなってしまえば、いくら共謀相手とはいえ、信頼が揺らぐのは間違いはない。激しい口論を重ねたが、クーデター集団同士で収集する事が不可能となり、お互いの殺戮の末に半分の者が絶命した。

そうして、王子はその後の3食全てを腹に収め、与えられる水の量の制限が無くなった。つまり、残党の命乞いである。また、クーデターそのものも、王を暗殺することには成功したが、集団を支える求心力が失われていた。

いよいよ、最後の審判が下されることになった。王が暗殺されたことにより、監房の王子は事実上の王である。また、クーデター集団の残党は、追われる身に変貌していた。

残党の出来る事は、王子を殺すか、王子を釈放するかのどちらかしか方法はない。しかし、何れにしても自分の命が最優先であることに変わりはない。王子を殺すことは、民衆から殺されることを意味し、王子を釈放することは、残党は反逆犯として処刑させることは間違いがない。

ならば、王子からの処刑を免れるには、王子の待遇が最優先となった。そして、最後の晩餐は、決して悪臭の立ち込めた食事ではなく、彼らが集めることの可能な最高の食材により調理された、今までとは雲泥の差である最高の食事であり、コップのささやかな水ではなくブドウ酒である。

こうして、王子は18日目に釈放された。

民衆は、王子を新しい王として迎え入れ、クーデター集団の残党は全て捉えられた。

王を囲む貴族院は、全員の処刑を求めた。

しかし、王は1名を残して「コレラ飯」の刑を下した。更に、集団内の殺戮を知る王は、自らに与えた20日を、残党が残り半分であることを理由とし、10日の刑のみとした。

勿論「コレラ飯」の刑を下された者は、全てコレラ患者となり、脱水症状で尽く絶命した。

しかし、残り1名は2つの「事情」を理由として、無罪にするどころか、自らの側近として迎え入れた。

その理由は簡単だ。「含まれているのはコレラ菌」であることであることを伝えたことである。その者こそが「最初に食事を持ってきた者」であり、王子に「最も詳しくその意図を伝えていた」からである。

確かにテロリスト集団も、米のとぎ汁のような便ではひと目で判ってしまうことから、早期の患者の便を用いたが、便に含まれている毒素が、大量の腸内細菌の細菌叢をその毒素によって噴出されていたことで、便の匂いを変えてしまう所までをじっくりと確認していなかったからである。

もっとも、地下室で便を観察しようものなら、著しい悪臭を伴うことから、観察とは言っても「その程度」であることは容易に想像がつこう。しかし食する本人、即ち王子は匂いどころか目前で便を見ていたのであるから、「コレラ飯」であるという事は判っていた。

余談だが、この王政でコレラ患者が著しく減ったのは言うまでもない。

つまり、運などというものは殆ど存在しない。

昨日の夕方の「とんでもない!」できごと(4)

ちさと「あ、ちょうど開いたところだから入ろ!」

真琴「中華料理は久しぶりです…」

叶花「あ~、確かに爺さまや婆さまに連れて行かれるのは、和食かいわゆる洋食店か寿司屋が多いからなぁ」

真琴「それに…パパも一緒に外食なのが嬉しい♪」

ちさと「へ?そんなに叶花って忙しかったっけ?」

めぐみ「(やっぱり…)まぁ、ちさと、その話は後でってことで、パーっと食べましょ!!」

沙奈「………」

<中華料理の円卓にて>

叶花「やっぱり、雰囲気とか、とりわけの料理だと、グレードがちょっと上っていい気分だなぁ。あ、めぐみさんや…さっきの約束(コソコソ)…たっぷり行使してね」

めぐみ「じゃぁ、遠慮なくフカヒレとかアワビとかも頼むね~。あと…(コッソリ)年齢が上に見えるようにしてきたから…生ビールと紹興酒頼んでもいい?」

叶花「まぁ…駄目とはさすがに言えんだろ。さすがにちとフカヒレの姿煮スープは無理だか…」

めぐみ「あははっ、冗談に決まってるじゃんww」

ちさと「う~ん、もう一人くらい呼んでも良かったかなぁ…」

叶花「え、どうして?」

ちさと「だって料理のバランスが微妙になっちゃうんだもん、食べ方によっては…」

叶花「じゃ、めぐみの彼氏でも電話で呼ぶか?」

めぐみ「いないいない。もしいるんだったら、今頃デート中でしょうに…」

ちさと「ま、それはごもっとも。で、沙奈ちゃんは~?」

沙奈「え?…彼氏かぁ…、確かに欲しい季節にはなってきたわね。一緒に居ると温かいし、クリスマス一緒に恋人が一緒にいるんだったら、今が作り時かな~?」

めぐみ「沙奈ぁ…「作り時」って、なんか別れるのを前提にしてるっぽくて微妙なんだけどぉ?」

ちさと「へぇ、何かあっさりと恋人が別れる方法ってあるの?」

沙奈「そんな技があったら、いつも下駄箱がラブレターの山だってばww」

めぐみ「あらぁ、それについてはちょっと聞きたいわね~。この後もつきあってもらっちゃっていい? 叶花ぁ、それってOK?」

叶花「いいよ~。食べ終わってお腹に余裕があれば、ね。ただ…沙奈やめぐみは通るが…さすがに、真琴とちさとの審査は厳しいかもしれないが…。」

めぐみ「あ、やっぱ「居酒屋」ってバレてたかww。じゃあ…後から来るツレっていう時間差攻撃はどう?…」

叶花「ああ、それなら可能だ。ソフトドリンクとお酒が交互だったら、誰が何を頼んだか判らなくなるし、ね」

めぐみ「ってことはトリキね」

叶花「さすがご名答。まぁ、そうまでしなくてもここでも飲めるしな。あ、店長が来た」

店長「こにちは。毎度どうもー」

叶花「今日は珍しい面子で来たよ~」

店長「そですね。飲みものはどしますか?

叶花「とりあえず…生5つ」

店長「生5つはいります」

めぐみ「…本当に注文が通っちゃった…」

叶花「だろ?そこは作戦次第ってことさ。で(コッソリ)真琴とちさとは生ビール大丈夫?」

ちさと「私は平気。まこちゃんはどう?…って、大丈夫だってさ」

叶花「じゃ、問題はなし…と。」

店長「あい、もてきたよ」

叶花「セットは人数合わせるので、例のやつ+おまかせで。それと、コースに入ってる青島ビールもよろしく~」

店長「グラスはいくついりますか」

叶花「う~ん、本数と同じ2つでいいや」

何はともあれ…「カンパ~イ!!」

グビグビグビ…ぷはぁ~

ちさと「え~?叶花のペース、無茶苦茶はや~い!!」

叶花「あ~もうすぐ青島ビールが来るからさ~、さて、もう1飲み」

グビグビグビグビ…ゴックン。

めぐみ「2口でジョッキを空にするとは…」

叶花「ああ、この程度なら序の口さぁ」

店長「青島ビール3本もてきたですよ」

叶花「お、1本サービス?今日も店長威勢がいいねぇ~」

店長「コースに上乗せだから、オマケだよ、支店の売上も上がってきただし」

叶花「それは何より!スナモはなかなか難産だったみたいだからね。心配してたのよ」

店長「全部の店舗で見るお客さんめずらしからすぐ覚えたよ」

叶花「とか言って、本店(ココ)とは10年以上の付き合いでしょうに」

店長「かのさ~ん、それ言たら、もっとサービスしなきゃだね」

叶花「店が損するのも困るから、追加は安価な「今日のおすすめ」でいいわ」

店長「じゃ、セットと合わせてもてきますよ~」

叶花「や~、有難いわ~☆」

店長「定食しか頼まないお客さんより、儲けいいだよ、コースって」

叶花「だろうなぁ、で昼しか来ない客は儲けが薄いしね(苦笑)」

店長「よく値段のこと知てますねぇ」

叶花「ところで、仕入れてた八百屋が潰れたから、材料の値段上がったでしょ?」

店長「あい。最初は困りましたが、新しい激安店舗も悪く無いヨ」

叶花「ああ、あそこね。主人自ら買い物って大変ですなぁ」

店長「商品見なきゃいいもの、手に入らないヨ。だからダヨ」

叶花「従業員さんが店長呼んでるよ」

店長「かのさん、よく北京語知ってるね~。ではごゆくりどうぞ」

叶花「さぁて次は青島☆ジョッキに注いで~。誰か余ったのいるかい?」

めぐみ「うん。私が貰う~!」

叶花「と、おお、2品出てきたな~。好きなように食べな?ここのはどれも美味しいぞ~」

ちさと「これはなぁに?」

叶花「おお、ピータンと豆腐を和えたもんだ。塩味が程よくて美味いぞ~。とはいえ、得手不得手もあるのだが…」

ちさと「おおっと!前菜からいきなり高得点っ!!」

めぐみ「これは…ん~スナギモ?歯ごたえがいい~!!」

叶花「ちさとと真琴のジョッキーがもうすぐ終わりそうだから、サワーでも頼んでみ?」

ちさと「ライムサワー!!」

真琴「えっと…青りんごサワー」

叶花「OK!店員さ~ん飲み物追加~!」

店員「はいはい。サワーで…ライムと青りんごデスネ」

叶花「沙奈とめぐみは、好きなペースで飲み物頼んでいいよ♪」

めぐみ「生1丁」

叶花「あたしも生で、都合2丁!」

沙奈「山査子酒1つロックでー!」

叶花「さすがというか…目のつけ所が凄いわ…」

店員「焼き餃子と水餃子デす」

叶花「はい、どうも~!!さ、味付けはそれぞれ任せた。絶対に同じになることはないから」

叶花「叶花は…お酢と生ラー油だけでOK。他に酢のいる人は?…沙奈とめぐみいるのね。醤油は~?あたし以外全員ね。ほかにご要望は?」

叶花「ほぅ…食べてみてから決めるか。懸命な判断だな」

ちさと「やっぱ生ラー油も欲しい!」

叶花「そか、インパクト不足だったか」

真琴「…あのぉ、辛子が欲しいんだけど、どれ?」

叶花「はいはい、これだよ。他に何か欲しい人は~?」

沙奈「生ラー油が欲しい~!!」

叶花「上と下どっちでトライ?」

沙奈「半々っ!!」

叶花「了解っ!!結構辛いぞ~」

叶花の言うとおりで、この時点で、調味料の組み合わせが全員違う。どうやって見事に当てたのかはともかく…観てる視点がすごく広いし、トークと手際がすごい…。

沙奈「叶花ぁ…後でいつものあれ…入れる予定?」

叶花「あれ…?ああOK!じゃあいつものを温めて貰うか…」

めぐみ「あれ…って?」

叶花「店長~!いつもの裏のカメ紹興酒4合、熱燗で。おちょこは5つで。あと生3つ追加で~」

店長「はい、ちょとお待ちくださいネ」

めぐみ「え~、何で「あれ」だけで判ったの!?…それに、生3つって…」

叶花「そりゃ、沙奈とめぐみのジョッキー見れば一発で判るだろうにww」

少々時間がかかるけど、その後のおつまみも美味しいのだから文句はないし…でも、紹興酒4合?1合が180mlだから…って大丈夫なのかしら??

店員「おまたせしマシた青椒肉絲と乾焼蝦仁デス」

ちさと「う~ん…、定番の料理ですなぁ。でも、どっちも凄い美味!!青椒肉絲は、個性を出しづらいものだけど平均よりは絶対に美味しい。ところが乾焼蝦仁は青二才に作れるようなものではないし、店長が自分で調理しただけあって、甘み・辛み・酸味どころか塩も控え目で、それこそレシピの想像すらも出来ない」

叶花「ほぅ、ちさとは「味」だけで誰が調理したのかが判ったのか。やぁ~連れてきた甲斐があってよかったよ~。」

ちさと「私も叶花の姪で嬉しいよ~ww」

叶花「この後は、チャーハンとか五目焼きそばとかが出るからお腹の量の調整しとけよ~…は、いいとして、真琴ぉ…そのピーマンの避け方は露骨すぎ。全部食えとは言わんから、その半分は食べろよ~」

沙奈「へえ、まこちゃんって好き嫌い無さそうに見えたのに、ピーマンは駄目かぁ。でも、何故に半分?」

めぐみ「うん。叶花の作ったローカルルール。なんかね、「好き嫌いなく全部食べなさい」って言われてる子供の目を見て考えたんだって。せっかくの楽しい外食なのに「食べなさい」だけで、一気に幸せが失せるのを観察して「これは、いわゆる大人の言い分でしかなく、人間の好む味は年齢で変化するんだから、不味いものを敢えて全部食わせる」のは「しつけ」じゃなくて「おしつけ」なんだってさ」

沙奈「確かに理に適ってる。それに、ピーマンの栄養だったら、別の野菜でも摂れるもんね…って、未だにトマト嫌いがある私に説得力ないけどww」

めぐみ「あ、叶花が言うには「絶対の秘伝の技だ!他言無用!!」とか。その原理使っちゃうと、親がワザと2倍入れてから「半分食え」って言うから、だってさ。だから秘伝ww」

沙奈「あ~、そうゆう親もいそうだもんね~ww」

めぐみ「ところで…沙奈は何でトマト嫌いなの?っていうか、かなり叶花が咬んでるって話までは伝わってきたんだけど…」

沙奈「ほら、私らって親戚でしょ。で、何歳くらいの時だっけなぁ…叶花がうちの親を説き伏せちゃったの」

めぐみ「え~と…沙奈と私の共通の親戚…ってことは、私のひいお爺ちゃんの法事だわ。で、どんな手を使って説き伏せたの?」

沙奈「うちらの家系って、江戸時代までず~っと遡っても親戚でしょ?だから、その道のプロを引っ張ってきちゃったのよww」

めぐみ「てことは、料理人に料理の本質を語らせた…とか?」

沙奈「もっとすごい手。料理人…んと、私のお爺ちゃんといとこ。私のお爺ちゃんと叶花のお爺ちゃんはすっごい昔から仲良くてね、で、叶花も私のお爺ちゃんに可愛がられてて、どこまで冗談なのかは知らないけど、そのいとこと、叶花が結婚出来たら幸せだね~なんてことも言ってたの。それはさておき…」

めぐみ「ん?あ、ビールね。叶花は、あ…あっちはあっちで盛り上がってるみたいだし、じゃ2人で…」

カンパーイ☆彡

ゴクゴクゴクゴクっ、ぷはぁ!美味し~

沙奈「やっぱ、ビールよね~、こうゆう時って。で、さっきに話を戻すんだけど、で、叶花と、料理人のお爺ちゃんと、管理栄養士の孫…私から見たらいとこでね、私の両親を、小一時間問い詰めたのよ」

めぐみ「な、なんか…叶花ってどういう手を使えるのか謎だわ…」

沙奈「それでね、トマトの栄養価の低さと不味さを語らせたのよww」

めぐみ「は、はぁ!?…それってどうゆう展開?」

沙奈「それで、説教をずら~っと並べたのよ。で、お爺ちゃんは「料理下手じゃ、どんな旨いもんだって不味くなるだろが!!娘をしつける前にてめぇの腕を磨け!!」とか「スパゲティの味付けにトマトケチャップ使ってる時点で、失格だ!!」いとこは「季節を通して赤いトマトは温室で強引に育てたのだから、リコピン・βカロチン・ビタミンA・C・カリウムは評価できない」「露地物で食べるなら、甘いからどんな料理にも変えて美味しく出来るけど、そもそも夏にしか収穫できないのが普通だから、それ以外の時期なら同じ量の人参にハチミツとオレンジを煮て食べたほうがマシ」で、トドメに「抗酸化作用が高いからって食って、肌ツヤでも綺麗になったのか!?」「あんたら、老人ホームに入ったら、好き嫌い関係なく栄養価の高いの食わせるけど、それでいいんか!?」まで言って、うちの両親、ず~っと正座」

めぐみ「う~ん…反論が出来るかどうか、以前の話だわ…」

沙奈「でしょwwで、未だにスーパーの生トマトはダメ。でも、いとこがちゃんとレシピ作ってくれたし、叶花は露地物の甘くて美味しいトマトを毎年送ってくれるから、いい食生活だよ」

めぐみ「アフターケア付きかぁ、って随分とマメねぇ…」

沙奈「うん。でも…そうゆう性格だから、叶花…障害を負うことになっちゃったんだけどね」

めぐみ「…うん、それはよく判る。もっと甘えてもいいのにね…」

沙奈「今でこそ隠遁(いんとん)生活だけど、逸話を上げていったらキリがない位、凄いことをして来たんだよ~」

めぐみ「あははっ、ただ地道な所だけを見て「秀吉」扱いしたら「あたしゃ信長だよ!」って怒る程だもんね」

沙奈「へぇ、それは初耳だわ」

めぐみ「じゃあ、叶花が乳がんの手術をしたお婆ちゃんの病院に、毎日夕ご飯持参で、普通なら車の距離を自転車で通って、毎晩書類書いてはギリギリの時間までお見舞いに行ってたのは?」

沙奈「え?その病院って××病院!?」

めぐみ「うん、その通り。しかも摘出した患部まで確認したって話だよ?私も最初は「はぁ!?」って思ったもん」

沙奈「…って、夜9時まで毎日で自転車通い!?しかも摘出確認まで!?…ってどんだけよ、って感じだわ」

めぐみ「…うん。大げさに話しが拡張して伝わった、って思ったけど、それは本当だって…」

沙奈「じゃあ癌に効く温泉に連れて行ったのも…本当なんだ…」

めぐみ「…あ、叶花だったらその話は多分本当だわ…」

沙奈「で、モテモテの叶花さんは…今は?」

じ~~~~~っ

叶花「ん?…何かその視線、微妙なんですけど!?」

沙奈「…う~ん、程よくお酒がまわって目尻が垂れてる」

めぐみ「…う~ん、沙奈結婚してみる?誰も反対しないっていうか出来ないとは思うけど?」

沙奈「…う~ん、まこちゃんが娘になるのも、めぐみと近い親戚になるのも嬉しいけど、けど」

めぐみ「…う~ん「けど」のあとは何が付くのかは気になるけど?」

沙奈「…う~ん、断る理由もないんだけど、何かちょっと引っかかるものが…」

めぐみ「…う~ん、きっと幸せな新婚生活だとは思うけど、やっぱり、かな?」

叶花「なんか…散々な言われようなのは、気のせいか…?」

昨日の夕方の「とんでもない!」できごと(3)

真琴「…ただいま~。あ、めぐちゃんにちさとも、もう来てたんだ」

ちさと「あ、まこちゃんひっさしぶり~♪」

真琴「…朝出かけるまで一緒に居た人が「久しぶり」もないと思うんだけど?

ちさと「もう…まこちゃんは全然冗談が通じないなぁ~」

真琴「…めぐちゃんのお化粧、すごく綺麗。いいなあ」

めぐみ「あ、判っちゃった?ほんのちょっと気合を入れてみた、って感じ~」

真琴「…後でメーカーとか教えて欲しいなぁ。で、パパぁ?」

叶花「なんじゃ、いきなり。めぐみに憧れて…ってことは…」

真琴「…うん。ちょっと前借りでもいいんだけど、いいかなぁ?」

叶花「あらま、真琴にしては珍しくおねだり。うん、いいよ。年相応なら」

真琴「…うん。じゃあ、めぐちゃんに色々教えて貰って買う」

叶花「じゃぁ、その時はめぐみ、頼むわ」

めぐみ「うん。いいけど…叶花の専門分野じゃない、お化粧って?」

叶花「あ~、本当に若い女の子だと判らないんだわ。美魔女を作るのは得意だけど」

めぐみ「なにそれ~www色々な意味で、すごいテクニックだわ~ww」

叶花「しょうがない。モデルがイマイチでも最高の化粧にしないと、食っていけないのが仕事だったから当たり前さ。全く…全員併せて何百歳分若返られさせたか…」

ちさと「ねぇねぇ、私は~?」

叶花「化粧しなくてもいけると思うけど…まぁ、どうしてもって言うならリップグロスかなぁ」

ちさと「…なんか、まこちゃんと同い年なのに不公平だぁ…」

叶花「いやいや、考え方が逆。ちさとみたいに血色が良ければ、余程美白を求めない限りは、かえって魅力が落ちるぞ?ファンデーションなんぞ入れた日には、一発でアウトなのは間違いないぞ?」

ちさと「う~ん…それって褒めてるの?」

叶花「もちろんだよ。ただ、真琴の場合は程よいタレ目だから、手を加えると冴える、ってそれだけのこと」

真琴「…じゃぁ、沙奈ちゃんもおんなじ?」

叶花「ちょいと色は違うが、要領は全く同じだよ。あ、めぐみさんや、お店の予約は?」

めぐみ「開店してからすぐだから大丈夫だと思うけど、ちゃんと5人でいれてあるよ」

叶花「さすが、ぬかりないな~。、ま、これで一安心だわ」

ちさと「ん~と、あれ?…4人じゃないの?」

叶花「へ?…ああ、そうゆうことか。一人忘れてないかい、ちさとさんよ?」

真琴「…ちさと、ちょっと薄情だよ、それって」

ちさと「え?まさかの2重攻撃!?って…あ、そうゆうことか!」

叶花「うちの大切なボスのさななを忘れちゃいかんだろうにww」

真琴「沙奈ちゃん…最近ちょっと影が薄いから…」

叶花「あ、いや…それはあたしが手が回りきってないだけで、沙奈は悪くない、ってか1人でもメンバーから欠けたら、あたしが困るわ。それより、もうすぐ出かけるから、真琴は着替えておいで」

真琴「…ええと、回るお寿司と回らない中華はラフでいいけど、回らないお寿司と回る中華は…それなりの格好がいいの?」

叶花「は?…って、そんな判断に困る知識、どこから仕入れたのやら。普通でいいよ」

真琴「うん…判った。じゃあ着替えてくる」

叶花「さってと、じゃあお二人さんは、靴履いて廊下に出てて下さいな」

めぐみ「うん。…ってあれ、まこちゃん待たなくていいの?」

叶花「見た目はのんびりそうだけど、着替えと準備はすごい速いよ」

めぐみ「え?そうなの!?普通はトップスとボトム合わせるのに大変なのに?」

叶花「ま、それが本当かどうかはすぐ判るぞ。ほれお二人さん、早く靴はかないと、玄関でつまっちゃうぞ?」

めぐみ「う、うん…。」

ちさと「履きやすい靴でよかったぁ~」

<intermission>

叶花「さ、お二人さんとも出てきたね。じゃ、カウントダウンスタート。5・4・3・2・1

ガチャリ

真琴「…お待たせ」

ちさと「…って、超っ早!!」

めぐみ「てことは…それを知ってて!?」

叶花「うん。ま、娘のこと位は判るわ。」

叶花「ついでに…こうゆう現象も結構存在するのさ」

ちさと「まこちゃん、速いよぉ、ちょっと待って~~!!」

叶花「…て感じにな。当然、普通は走って追いかけることになる、とな」

めぐみ「…あははっ(苦笑)で、私達は追いかけなてもいいの?」

叶花「一応、沙奈に今どこか位は確認しとかなくちゃな。歩きながらのスマホは危ないから、とりあえずはここで…」

めぐみ「OK、それ今確認してみるね。と…送信」

叶花「おっ、ありがとうな。それじゃあ…追いかけるとしますか」

めぐみ「そうだね。多分、もうエレベーターから降りて、道を歩いてると思うけど」

叶花「ま、うちら2人だったら追いつくだろう。あたしはこれでも短距離走は得意でな~。でもマラソンは2kmでも続かん…」

めぐみ「じゃぁ…勝負する?これでも私、全国大会の地区予選で400mで2位の成績だよ?」

叶花「お、それは釣り合いが取れていいな」

めぐみ「あら、言うじゃない。叶花みたいに運動不足が追いつけるかしらねぇ?うふふっ」

めぐみ「あ、返信が来た。「駅についたとこ」だってさ」

叶花「じゃぁ、エレベーターホールのエントランスから、今は多分400mってあたりに真琴はいるはずだし…何を賭けましょうかね?」

めぐみ「あらぁ、随分と強気ね。じやぁ…私は絶対にあり得ないようなものを賭けちゃおうかな。じゃあ…ん~「私の初めてのH」でどうかしら?」

叶花「おいおい、そんな無茶なもの賭けたら大変だぞ?じゃあ、あたしは…相場で言う4万円ってとこでいいかい?」

めぐみ「へぇ~、まさかとは思うけど…本当にその相場で「買って」ないでしょうねぇ?」

叶花「あたしゃ、これでも売買春どころか風俗にも手は出してないぞ?Hは子作りの為のものとしか思ってないんだけどなぁ。それで「愛情がない!」って言われたらそれはそれで困るが」

めぐみ「まぁ、叶花らしさを絵に描いたような表現ね~。さぁ、じゃあスタート地点まで着きましたが…後悔はないわね?」

叶花「そっちこそ。じゃあスタートの掛け声な。3・2・1・どんっ!」

叶花が敵う訳ないじゃないの。間違いなく本気で走ってるだろうし、私も手を抜けないわ。ただ、前を見るのみっ!…今が大体100mってところでしょう。叶花は、20m位後ろとして…400mの最終のスタミナを考え…って、え?…叶花が追い抜いた!?何で!?てゆうかスパートをかけたにしてもタイミングが早すぎる!!しかも距離を広げてる!?

…ラストスパートを考えても、30mまで離れるのが限度…って、え?ちょ、ちょっとどうゆうペース配分!?しかも、速度を落とさない!?これじゃぁ、叶花が万が一スタミナが持ってたとしたら…スパートかけても追いつかない!!もっとスピードを上げろ…って判断していいのかどうか?わからない、わからない!わからない!!

…もう、追いつける限度まで差が開いてる…。これじゃあ、スピード上げないと絶対に勝てない。なら、もうスパートをかけないと!!…って…え!?それでも距離が縮まらない!?まだ、叶花は速度を上げる気!?も、もう私の息が苦しくなってきたよ!?

…苦しくて当たり前だ!!こんなペースの400m走なんて考えられない!!でも、どうしてあんな無茶なペースの叶花が苦しくないの!?理解が出来ない、てゆうか残りの100mが…普通の100m走のラストスパートと変わらない!!

…今のペースで叶花と同じ速度だ!!じゃぁ、どこからそのスタミナを引っ張り出せばいいの!?これじゃあ400mじゃない!!もう追いつくのは無理!?

…あ、叶花の速度が落ちて差が縮まった!?もう普通で考えたらここしか追いつける場所はない!!少しづつ叶花との距離が縮んでる、ここでスパートだ!!でも…スタミナが足りなすぎる…追いつくどころか近づくのがやっとだ…。こんなに苦しい400m走はあり得ない…あ、叶花との距離があと20m…10m…

あっ!!叶花が先にまこちゃんの肩にタッチした…。え…私…どうして追いつけなかったの…と言うより、叶花はどうして、あのスピードで!?しかも残り10mまで読んでたというのなら、作戦がとんでもなさすぎる…。私の完敗だ…。

めぐみ「…はぁはぁ…ど、どうして…?」

叶花「…はぁはぁはぁ…めぐみは…400mとして、…走ってただろ?はぁはぁ…」

ちさと「お姉ちゃんたち、どうしたの!?なんか、すごく疲れきってるんだけど??」

真琴「…もしかして、無理に私達に追いつこうとしたの…?」

めぐみ「はぁはぁ、叶花と…競争してたの…はぁはぁ…」

叶花「はぁはぁ…めぐみは、ちょっと計算間違いをしてたみたいだね…はぁはぁ」

めぐみ「はぁはぁ…ちょ、ちょっと前まで現役陸上部だった私が、はぁはぁ…ペース配分間違える訳ないでしょ…はぁはぁ」

叶花「めぐみは…2つの計算違いをしていた…ってのに気がついたかい?」

めぐみ「2つの…って?はぁはぁ…」

叶花「レーンが2つなら、めぐみの計算でいけるけど…レーンがないならば、あたしは真後ろを走ればいい」

めぐみ「え?…あ、エアスポイラー!!」

叶花「ほい、先ずは1つ理由が解けたな。真後ろに居れば、叶花がめぐみに吸い込まれるから、かなり力が減る」

めぐみ「もう1つは?」

叶花「完全に400mのトラックを想定して、スタミナ配分をしようとしている。それは全然間違いではない…競技場の上なら、ね」

めぐみ「競技場じゃない…別の要素?」

叶花「スタートする時は400mがゴール地点周辺なのは確か。しかし、ゴールは移動している。それを考えたらゴールは400m地点じゃないだろう?」

めぐみ「あっ!…てことは、実際に走った距離は、約470m!?」

叶花「おっ、ちゃんと気がついたみたいだな、配分ミスに」

めぐみ「…じゃあ、全てで想定済み!?」

叶花「本当に400mジャストだったら、叶花に勝ち目はない。だったら、めぐみが0.5~1.0秒早くゴールしていた。しかし、70mの追加は、加速度が大幅に変わることを考慮に入れておかないと、完全にペース配分が変わる。現に、叶花のスピードに翻弄されていた、だろ?」

めぐみ「…うん。何でここでスパート!?って感じたけど…」

叶花「それも作戦のうち。実際に、理解を出来ていたなら、スパートの限界は300mあればいいとこ。それは知ってるよな?」

めぐみ「うん。じゃぁ…100mを超えた所で飛ばしたのは…私のスタミナも考えた上!?

叶花「そ。先発に焦って、本来では出さないスパートを使わざるを得なかっただろ?これがあたしの「カケヒキ」の1つなのさ。もし、めぐみが挑発に乗らなければ、最終的にはめぐみの勝ちだったさ」

めぐみ「なんか…無茶苦茶悔しいんだけど…」

叶花「だろうなぁ。でも何よりも大きいのはゴールが固定している、400mだと信じきって走ったことだよ」

めぐみ「…あれ、400mって言ったのは叶花だったような気が…」

叶花「う~ん『今は多分400mってあたり』とは言ったけど、あくまでも「その時の推定位置」でしかないし「ゴールがその場所で待っている」という保証は何もない」

めぐみ「それはもっともな話だわ」

叶花「つまり、ネコが、毒か放射線か知らんが一緒に入れられていたとしても、外にいる人間が箱を開けない限りは、ネコが生きているかどうか判らない。確率では出るかもしれないが、箱を開けないのであれば、どんな理論を使っても「推定」にしかならない。真実は、フタを開けて初めて判る。つまり、今回のネコの行方を決定しているのは、ゴールにつかなければ判らない。

めぐみ「う~ん…「シュレディンガーの猫」かぁ…」

叶花「そ。まさにその通り。今回の真琴の位置的要素は2種類。「待ってる」か「進んでいる」かのどちらかの至って単純なもの。歩いているならば、400m+αm、待っているのであれば、、0~400m+αm。だから400mは全く確定値じゃないし、強いて言えば「400m+α」は期待値。だから400mは時間が止まったか、運がいいかのどちらか。故に400mは「ある一定の時間での予想値」でしかないし、計算するならばパラメータの1つでしかない。お判りかな?」

めぐみ「…じゃ、エレベーターホールで待ってた場合は?

叶花「待っていればα=0、先に進んでいれば、400m+α。じゃあ、この「α」の意味は何か判るな?」

めぐみ「……あくまで、まこちゃんに追いつく為に費やした距離。」

叶花「はい、それで正解。優秀なめぐみらしからぬ計算間違いですな」

めぐみ「…わかったわよ。で…「いつ」「どこ」が希望?」

叶花「は?…ああ、あれね。そんなの姪に要求できる訳ないだろww」

めぐみ「…え?でも負けたのは確かだし…」

叶花「それとも…ご希望だったかな?」

めぐみ「な!? そ、そんな訳ないじゃないしっ!!」

なんか…はぐらかされたような気分。でも確かに、とんでもないものを賭けちゃったから、本当に勝たないと!!と考えていた。それでも、負けてなおかつ帳消しになったのは、そこまで嬉しいとは思わない。もちろん「初めて」をあげる相手はちゃんと選ばないと駄目なことは判っている。でも、女子高の私には…そんな相手は周囲にいる筈がない。確かに周りの友達からは「合コン来なよ~」とか誘われたり「うちの彼氏がね~」なんて話を聞くことは、結構多い方かもしれない。だけど…今の私は、よく判らない相手と、イチャイチャ仲良くするなんて出来ない。

とは言っても、相手に甘えられたり、ほんのちょっぴり愛して欲しいなんて矛盾もある。実は、さっき叶花とちさとが仲良くしているのを見ていたら、私じゃ相手として不足なのかな?なんて感じた。これって嫉妬なのかどうかは判らないけど…、叶花は、私が小さい時からかわいがってくれた「お兄さん」みたいな感じの人。最近は、ちさとと仲が良いのは判ってる。そんな所に、私が割り込んだら…ちさとの気持ちを壊すのとおんなじ…。

そこは、姉なんだから我慢しなきゃ、って言うのは、自分に対しての言い訳だ。ましてや「兄的な存在の好き」と「男性として好き」というのは、まだ完全には判らない。だけど…どっちにしても、もっと甘えてもいいんだよね? でも…どうすればちさとを悲しませないで済むんだろう…?

あ、そうか。ちさとが今迄と同じく可愛がって貰えるように、私は私で応援すればいいんだ。そして…ちさとが傷つかないように近寄っていけばいいんだ。絶対に超えちゃいけないけど…近くにならいける…それだったら、今回の賭けを上手く使ってみよう。

めぐみ「ねぇ、さっきの賭けのことを叶花に聞いていい?」

叶花「ん?何か良い物を貰えるんだったら受け取るけど?」

めぐみ「じゃぁ…「私を甘えさせて、×××以外は…叶花の好きなようにして…ならいいかな…? …ちさとみたいに、っていうか、ちさとを超えない範囲で…だけど」

叶花「う~んと…それは、賭けに負けた前からの希望?」

めぐみ「…うん。でも、ちさとを傷つけたくないから…絶対に超えないようにで…」

ちさと「え、私がどうしたの~?」

めぐみ「あ、た、大したことじゃないよ」

ちさと「そっかぁ。私が「困った子」って話じゃないならいいよ」

めぐみ「お姉ちゃんは、ちさとを困った子って思った事ないわよ?」

ちさと「そっかぁ…、でスルーしようと思ったけど、別の意味で困ってるのは判っちゃった。ごめんね、聴くつもりはなかったんだけど、全部聞こえちゃった」

めぐみ「え!?そ、そんなつもりじゃなくって…」

ちさと「甘えることって悪い事?それとも…私限定で?」

めぐみ「あ、甘えることの出来る相手がいれば甘えていい…と、思う、んだけど」

ちさと「じゃぁ、お姉ちゃんも叶花に甘えればいいじゃん、私みたいに」

めぐみ「そう…なんだけど…それじゃあ、ちさとの立場が…」

ちさと「私の立場はお姉ちゃんが決める事じゃないよ?決定権があるのはただ一人」

めぐみ「それって、もしかして…」

ちさと「私の言えるのはここまでかな~? ねっ、叶花っ♪」

叶花「え?いきなりここであたしに話題を振りますかっ!?」

ちさと「あ、このかどを曲がったらお店の前だね」

沙奈「あっ、来た来た~!!すごぉぃ、時間ピッタリだよっ!!」

ちさと「あっ、沙奈ちゃん!!わぁい~♪叶花、こうゆうところって、凄くピッチリしてるよね」

叶花「うちのCEOだけそっちのけで、呑気に中華料理はナシでしょうに」

ちさと「確かにそうだね」

沙奈「わぁい、めぐみにまこちゃんもこんばんわ~!と、ついでに叶花も」

叶花「おい、誰がついでだって?そのつもりなら、金回さんぞ?」

沙奈「あ~、ウソウソ!!てか、叶花に色々と聞きたいことがあったから、今回のお食事、とっても楽しみだったんだよ~!!」

【美味】びわゼリー

この間のは「飲むびわゼリー」だったけど、今回は「果実丸ごとびわゼリー」!
ダイエット中の人、ごめんなさいっ!!

ファイル 558-1.jpg
でも、甘みをほどよく抑えてあるから、カロリーは少ないよ。ちなみに、この盛りで半人前。真琴と分けて食べました~、ってか、お腹いっぱいにさすがに…(何故、真琴は「甘いモノは別腹っ!)って言わないんだろう??父親ながらよう判らん。

昨日の夕方の「とんでもない!」できごと(2)

かなりただ事ではないのは判った。それと、飲んだ薬そのものも、呼吸中枢にもブロックかけるものだから、ある量を超えたら、本当にあの世に行くレベルだ。知ってて飲んだのならともかく、無意識下でも飲んでいる。失禁程度なら笑い話で済まされるが、悪く言えば服毒自殺と何も変わらない。追い詰められていたのは判ったが、いくら何でも限度がある。何故、ここまで追い詰められる事態に至ったのか?そして…外出する機会もそう存在しないから、これでは閉鎖社会…つまり座敷牢と変わらない。でも、どこかに突破口はある筈だ。

めぐみ「もし仮に、今、短時間でも働くことになったら行けそう?」

叶花「最初は何とかなるかもしれないけれど…多分、続かない」

めぐみ「不定愁訴※が原因?」

叶花「そう考えればすんなりと答えは出る」

めぐみ「尿失禁はともかくとして、感情失禁※は?」

叶花「通常はない。だた、相手の理不尽な要求があったとしたら保証はない」

めぐみ「見当識※は?」

叶花「度々無くす」

めぐみ「もし今、私が2種類のケーキを置いて「好きな方を選んで」って言ったら、即決出来る?」

叶花「相手の判断で好きな方を選んでもらう」

めぐみ「取り返しの付かないような事をした、っていうのは最近あった?」

叶花「う~ん、…あった。何とか解決手段を親父に出してもらったけど」

めぐみ「普段一人でいる時はどんなことをしてる?」

叶花「何もしてないか、PCか本を読んでる。それだけ」

めぐみ「誰か家族以外の人と喋ったら、いつも笑顔でいれる?」

叶花「長時間でなければ…。出来ない時は気がついてないフリをしてやり過ごす」

間違いない。これだけ当てはまる項目があったら統合失調症※の診断が下っても不思議はない。しかも、真琴ちゃんとちさとに聴いた限りでは、受動的な範囲でなければ物事を実行できない。

MRIの結果を聞いた時では、とくに異常は見つかっていないのは聞いている。でも、貯めてしまった問題も多すぎる。若年性アルツハイマー病※でもない。ただ、それなりの自己解決能力だけは残っている。もっとも…促された上でしか解決には至らない。

これではうつ病だけでは説明がつかない。身体的異常も多すぎる。でも、ここまで重なると重度ではないにしても、統合失調症としての「若認知」だ。まだ、自己解決能力と短期記憶能力の一部は、叶花の能力でそれなりにカバーしている。それが結果的に「理解の出来ない病気」としか判断せざるを得ない事になって、事が大きくなるようであれば、対症療法でごまかされているし、家族はそれで納得している。

挙句の果てには、全て薬のせいにされている。転院歴から聞いても、何らかの干渉があって「医原病」※として別の病院に移転させられている。大きな決断をする時は、判断する能力が、叶花の中で存在しないか押し閉じ込めさせている。もし別の病院に行っても、というか転院させられても…薬をいきなり変えることは出来ないから変わらない。カウンセリングを何度も受けているみたいだけど、話の限りでは…目標は「解決」に向かっていない。当然、私にはどうすることも出来ない。

でもこの年齢で「廃用症候群」※になるのは、あまりに早すぎる。

めぐみ「あ、汚れた下着とかは、コッソリ洗濯物にまぎれさせておいたから。スボンだけはまだ乾かないから、もうちょっと放置しておくね。もし洗濯物にしても、その匂いで絶対にバレるから…布団とやベッドパッドと一緒に部屋干しにしておいたから心配しなくていいよ」

叶花「ああ、ありがとうな。じゃぁ、ちょっと少ないけどこれ、お小遣い」

って言って、財布から2000円を取り出した。

めぐみ「えっ……それは、ちょっと受け取れないなぁ」

叶花「何も遠慮する必要はないよ?これだけ色々として貰ったんだし」

めぐみ「ううん、そうじゃなくて…叶花の羞恥心の大きさと私のしたことを測り比べたら…つりあわないでしょ?まだ「いい大人がおねしょ!?」って言って渋々片付ける事になったら話は変わるけど、理由もはっきりしてるし、目の前で看取るなんて事態にならなかっただけでも十分よ」

叶花「…ん、判った。じゃあ…今日は中華料理をごちそうするから、どんどん好きなのを頼んでね。…それだったら受け取れるでしょ?」

めぐみ「うん。じゃあそうさせて貰うわ。じゃぁ…、バレないように片付けたから、待ちわびてるちさとを読んでくるね」

叶花「…待ちわびてる…か」

めぐみ「そりゃそうでしょう。ブログも読んだし…何よりも私の妹なんだから、行動を見てたら「普通の「叔父と姪」の間の関係ではない」事くらい判るわよ。さすがに…それで子供が出来ちゃいました、なんてなったら私もフォロー出来ないけど、ね」

叶花「随分と寛容な姉だね。怒られるかなぁって思ってた位だし」

めぐみ「う~ん、普通の姉だったら、怒るのが当然だと思う。でも、結婚こそは出来ないけど…気持ちに封は出来ないでしょ。どこかで遊んで、行動が掴めないのだったら、姉としては怒るけど、どこに行ってるのかは一目瞭然だし…色んな意味安全だわ」

叶花「そう言って貰えるなら助かるわ。まぁ…微妙な所で釘を刺されたような気はしないでもないけどなww」

めぐみ「普通の人にだったら、こんな言い回しはしないわよ。なんか「ブレイン」ってことにされてるけど…叶花と張り合ったら、途中まではいい勝負出来るかもしれないけど、最後のひと押しで私が負かされちゃうわよ。あ、じゃあちさと呼んでくるわね」

叶花「おう、頼むわ。……最後のひと押し、か。もし勝ち負けで決めるんだったら、可能性もあるけど、勝ち負けを無しにしたってめぐみには勝てんわ。もっとも、姪が優秀なのは嬉しいけどな」

ちさと「叶花ぁ、もう待ちわびちゃったよ~」

叶花「悪い悪い。ちょいとお姉ちゃんと「大切な話」をしてたんだよ」

めぐみ「でしょ?」

叶花「ああ、確かにそうだな」

ちさと「ん?大切な…??ん~、ま、いいかっ。時代劇か何かよく判らないドラマの再放送しかやってないから、TVが退屈だったよ~」

叶花「この時間じゃ、余程の騒動がない限りは…平和な番組か、時代劇か番宣しかやってないもんなぁ。てか…Wiiでもやってれば良かったのにさぁ。」

ちさと「Wiiのゲーム、やりたいのが全然なかった…」

叶花「そうかもな~。婆ちゃんの買うのは。スポーツ系かストレッチ系だもんなぁ」

ちさと「ん~ところで……私が待った分の見返りは??」

叶花「見返り??ああ、そうだなぁ…何か買って欲しいものでもあるか?」

ちさと「…う~ん、買い物以外の方が欲しい」

叶花「は?そりゃまた微妙なものを欲しがるなぁ…」

ちさと「とりあえず…抱っこくらいはしてくれなきゃ許さない」

ちらりとめぐみの方を向いたら、うなづいた。OK…か。

叶花「ん、じゃあ…は~い抱っこ」

と、腕を広げると迷わず呼び込んできた。それどころか…

ちさと「ちゅっ♡ はいっ、ごちそ~さまっ☆」

叶花「……は?キスって抱っこのオプションなのか?」

と、ちらっとめぐみの方を見たら…驚くどころか、2度うなづく。それは…ありな訳ね。う~む…女の子の心理はよく判らん。普通は怒るか、バッテンなサインでも示しそうなものなのに…。

ちさと「ねぇ…なんで、さっきからお姉ちゃんの方ばっかり見てるの?抱きついてるのに、女の子のほうをちゃんと見ないって失礼だよ?」

叶花「あ、ごめんごめん。じゃあ、ギューって抱っこな」

ガシッ。ギュ~

ちさと「うん、今日の叶花はいつもよりちょっと温かい。幸せ~」

叶花「そうか~。あたしもカワイイ姪を抱っこしてて幸せだよ~」

ちさと「えへへ~」

めぐみ「…あ、ちょっと席を外したほうがいいかな…?」

叶花「あ、見てて嫌じゃなかったら、別に気にしなくてもいいよ」

めぐみ「そう?…あ、このぞんざいに置かれた黄色い封筒見ていい?」

叶花「封筒…?うん、いいよ」

めぐみ「えと…東京都福祉保健局生活福祉部地域福祉推進課福祉人材対策係…って随分と長い名称な送り先ねぇ…で、これって、何かの補助とか、職業訓練させてもらえる…とか?」

叶花「ま、中身を読めば、理由はすぐに判るさ」

めぐみ「そう?じゃ読ませてもらうわ。叶花はちさとをちゃ~んと抱きしめてあげてね」

叶花「ああ。それでいいんだとさ、ちさとさんよ」

ちさと「わぁい♡ 公認でOKなんだ~♪じゃぁ、包帯を巻いてない左手のほうを動かしていい~?」

叶花「ん?いいけど、しびれがあるからゆっくりな」

ちさと「うんっ。ブラの上からだからあんまり感触判らないかもだけど~」

叶花「…ブラ?って、あのぉ第2と第3のボタン外してあるってことはまさか…」

ちさと「うんっ。って、叶花よく見つけたね~」

叶花「その位の観察能力はあるってば。って、迷わず腕を誘導して手を入れるって…それってどうしても、胸を触って欲しいって言ってるようにしか思えないんだけど?」

めぐみ「ねぇ、ちさと~」

ちさと「何、お姉ちゃん?それってダメって合図?」

めぐみ「あ、逆よ逆。ブラだったら上にたくし上げればいいんじゃない?そうすればダイレクトでしょ?で揉んでもらったら?」

叶花「な、どういう合図ですか、それって!?」

めぐみ「言葉のとおりだけど?」

ちさと「うんっ!じゃぁ腕時計を外して…「スルッ」こんな感じかな~?」

叶花「…ん~、何かあたしの発言と意志がカンペキにスルーなんだけど…」

ちさと「…それとも、触るのは…嫌?」

叶花「嫌どころか美味しいシチュなんだけど…「公認」どころか「推奨」って、いくらオープンな家系でもそれってアリなのかは、かな~り疑問なんですが?」

めぐみ「あら、大きい胸のほうがお好み?だったら私でもいいけど?」

ちさと「お姉ちゃんっ、それって反則っ!!」

めぐみ「あははっ、冗談だってば~」

ちさと「…で、触るだけで終わり?」

叶花「全く…、この姉妹の押しには敵わんな…」

ちさと「あ、はふぅ…ねぇ叶花~?もうちょっと強く揉んで欲しいなぁ?これだと、くすぐったい…」

叶花「はいはい」

ちさと「はぅん…、ふぅふぅ……んん……あふぅ」

めぐみ「叶花、ところで…コミュニケーション中で悪いんだけど」

叶花「…普通はそこ「お楽しみ中のところ」になると思うんだけど、で何だい?」

めぐみ「あ、手は止めないで聞いてね?この黄色の封筒の中身って、かなりフザけた内容なんだけど…?」

叶花「あ、やっぱりめぐみもそう思うかい?まぁ、特に事情のない人だったら「仕事の斡旋か」になるトコなんだけど、事情がある人にしてみたら「しょうがないから、とりあえず「それなりに」稼いで、税金をいっぱい落として下さいね」って言ってるようにしか聴こえん。要は、そもそもからして、あまり支援する気はないってことだ」

めぐみ「まぁ…そう受け取るのが普通よね」

叶花「それどころか、一定収入にまでいけば、金銭的にも人的にも、支援する必要がなくなるから、東京都にしてみたら歳出が大幅に減るし、税金も受け取れる。それだったら、職につけない福祉系の人間を、自転車で走り回させれば、介護保険料の削減を見返りに、一部のお金が東京都に落ちるし、しかも「在宅支援」を上手く活かせば、東京都はドヤ顔で国に対してアピールが出来るって寸法」

めぐみ「じゃぁ…フザけた内容ってことには全然変わりがない訳ね」

叶花「そうゆうこと。ちゃんと制度の勉強をすれば、カラクリはすんなり解ける。しかも福祉を目指す人間は、基本的にはお人好しのカタマリ。訪問介護員(ホームヘルパー)の資格だったら、そう取得は難しいものじゃなかったし…てゆうか、中途半端な資格で、短時間で終わる過程のモノだったから、こっちの足元を見てるのと同じさ」

めぐみ「まぁ…そのつもりでなければ「必ずアンケートを送り返せ」なんて文面は書かないわよね。人手が足りてないってゆうのは確かなんだろうけど…そもそもからして、送りつける人間を間違ってることには代わりはないわね。国は、特殊な仕事でない限りは、障害者を雇う率を増やしたけど、実際に渡す賃金は、新卒の最低限度額よりも少ないのが現状でしょ?それじゃあ、契約したヘルパーサービスにしてみたら、この上ない美味しい求人ってことよね」

叶花「さすが、めぐみは飲み込みが早いな。もし働いて著しく低賃金だったら、貰う額よりも医療費や払う税金のほうが高くなることもあるから、それは働いたら損。もし、賃金の保障がある程度にしてある、善良な契約先にしたって、かなりの件数を稼がなくちゃ自立は不可能」

めぐみ「タバコみたいな嗜好品は別としても、食費や光熱費や住宅維持費諸々も払えないなら、手取り額の極端に少ない人や、年金を受け取っている人の扶養家族のほうがはるかにマシね。それだったら、生活保護受給者の対象になるし、少なくとも食べるには困らない」

叶花「ま、その通りさ。しかもタバコにしたって、万が一事件の加害者になったり、冤罪で捕まったとしても、留置場内では1日2本まではOKだ(東京、即ち警視庁の管轄は禁煙)」

めぐみ「とんでもない逆転現象ね、それって」

叶花「そ。だから、夜露をしのげない真冬だったら、ほんの軽犯罪を犯して捕まったほうがいい生活が出来る。遊べはしないが、3食つきで宿泊出来る」

めぐみ「それで、逮捕歴の多い人が出てくる訳ね。まぁ留置場から拘置所に移されても、罪状が確定しない限りは、のんびり暮らせる。それこそ小菅だったらアイスクリームも買えるんでしょ?」

叶花「買えるけど…後で支払い請求は来るけどな」

めぐみ「ところで、コミュニケーションを図ってる所悪いんだけど…、そろそろ真琴ちゃんの帰ってくる時間じゃないかしら?」

叶花「おっと、もうそんな時間か。ちさと~、ブラと服は直してな」

ちさと「うん。でも…叶花に直して欲しいな~」

叶花「…全く。じゃぁ、直すから一回シャツは脱がすぞ?」

ちさと「うん♡」

叶花「…なんか、どう表現すればいいのか判らんわ」

めぐみ「普通に彼女の服を脱がしたり着せてあげる感覚でいいんじゃない?」

叶花「…妙にあっさりとした答えだな。じゃ、ちょっと胸を持ち上げるぞ」

ちさと「うん。…って、何でそんなに手際がいいの?」

叶花「ちゃんとカップに収まらなきゃ型くずれするだろうに」

ちさと「そうじゃなくて…、手際のいい理由が知りたい…」

めぐみ「あ、それは私も知りたいかも」

叶花「って、姪の前で暴露するなんて話、聴いたことないぞ?」

めぐみ「ふぅ~ん、「暴露」って事は「何かがあった」って事よね?」

叶花「めぐみ…それって「誘導尋問」って判って言ってる?」

めぐみ「…さすがにトラップにはかからなかったかぁ、残念」

ちさと「…???どうゆう展開なのか判らないんだけど…」

叶花「ま、ちさとはまだ知らなくてもいいぞ、こうゆう腹黒い会話は」

ちさと「なぁんか、子供扱いされた気分なんだけど~」

叶花「まぁ、大した理由じゃないから話すわ。あたしが印刷所で働いてたのは知ってるよな?」

めぐみ・ちさと「うん」

叶花「それで、ランジェリーのカタログ作成を任されたの。で、現物の山に囲まれて作業してたんだわ。そうなれば、ページによってはブラジャーの山に囲まれることだってあるだろう。で、色はともかくとして、問題は形だわ」

めぐみ「なんとなぁく、話の糸口が見えてきたわ」

ちさと「???」

叶花「で、さすがにトルソー相手に、何とか形を整えようとはしたんだけど、あんな硬い物じゃさすがにどうにもならない。で、シリコンのトルソーってあるのか?って聴いたら、答えは案の定「そんなに高級な物はない」って返事されてな」

ちさと「トルソーってなぁに?」

めぐみ「要は「マネキン」のこと。で、そうなったら志願者が必要よね?」

叶花「ご名答。んで、言い寄ってきてた女の子が、あたし限定ならいいよ、と」

めぐみ「気持ちは判るけど…さすがにそれは露骨すぎるアプローチね」

叶花「でも、他の人に頼んだら、そりゃどうやっても「セクハラ」になる」

めぐみ「確かに普通だったら、セクハラで当たり前だから頼むしかなかったと」

叶花「そうゆうこと。「あたしが一切触らない」のを条件でつけ方と形を教えて貰ったん。これで触ってたら、間違いなくその女の子の思う壺だろう?」

めぐみ「そうねぇ、それで触ったら「既成事実」を与えたようなモノだからね」

叶花「で、首から上は写さない、って言って1回だけパシャリ、と」

めぐみ「あらまぁ…それじゃあ、その女の子の頼まれ損だわね」

叶花「仕方ないから、埋め合わせに当分の間はお昼ごはんを奢るってことで」

めぐみ「なんか…随分と高い「買い物」になっちゃったのねぇ」

叶花「うん。そしたら、女の子曰く「一緒に行きづらくなるからワリカン」と」

めぐみ「う~ん…その女の子にとっては、これ以上ないチャンスよね、それ」

叶花「そうゆうこと。ほい、ちさとさんよ、つけ心地と着心地は如何かい?」

ちさと「すごぉい!カップが1つプラス?な感じでキレイに収まってる!」

叶花「それはなによりだ。褒め言葉でも嬉しい位だわ」

ちさと「え~、ホントだよ♡ 今度から真似してみよ♪」

叶花「あ、真琴が帰ってきた。じゃぁ、一休みしたら夕飯に行こうか」

※不定愁訴とは明らかに本人にとって痛みや悪心があっても症状が見つからない状態
※感情失禁とは、抑えている感情を大量に漏らすこと。酒を飲んで発生する上戸もその一種。
※失見当識は、時間や場所や季節などの概念が失われること。重症だと相手が誰か判らなくなる。
※統合失調症とは、うつ病などの精神障害のみでなく、不定愁訴や様々な明確な病態が突発する。
※若年性アルツハイマー病とは、60歳未満で脳(特に大脳新皮質と海馬)が萎縮する病気。いわゆる認知症。
※医原病とは、医者の治療や処方が不適切で発生する症例のこと。
※廃用症候群は、いわゆる寝たきり状態。白痴もこれに含まれる。

昨日の夕方の「とんでもない!」できごと(1)

あれ、叶花がSkypeに出ない?
しかも家電でも、誰も出ない?

う~ん、おかしいなぁ??

どこまで行っても、地下鉄の漏洩通信網が大抵はついているから、通話かメールは確実に届く。あ、そういやケータイは解約したんだった。

とはいうことは、おととい「うちに来な、夕飯おごるよ」って言ってたからでかけてはいないハズ…う~ん、もしかしたら「月初め」で、精神科から薬を処方されてるだろうから…帰ってからすぐ寝た?

ま、そんなオチだろうとちさとと一緒に叶花の家に行った。合い鍵は持ってるから、もし居なくても中で待ってればいいんだけど…何か嫌な予感…。家に入って叶花の部屋を見たら…

あ、やっぱり寝てた。あれ?…お薬の缶が転がってる、これは…

パカッ

…えっと眠剤と、向精神薬と、精神安定剤。

ちさと「ねぇ…お姉ちゃん。叶花がとんでもない眠り方してるんだけど…」

めぐみ「え?とんでもない…て?」

ちさと「睡眠薬と精神薬を飲んでるんだけど…そこに封が捨てそこねて落ちてる」

めぐみ「こんな時間に睡眠薬?…ちさとは処方されてる量は判る!?」

ちさと「うん。お薬手帳と、飲み方の説明がこれ…」

なんか…すごく嫌な予感がする。

めぐみ「眠剤と向精神薬と精神安定剤の数が合わない!!て最低でも4倍の量を飲んでる計算!?しかも×××は丸ごとなくなってる!!」

ちさと「4倍っ!?こ、これってちょっとそれってヤバいんじゃ?」

めぐみ「急いで叶花の脱ぎ捨ててあるズボンの右ポケットから全部出して、オレンジのを私のちょうだい!!」
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ちさと「え!?うん!!」

お姉ちゃんは、叶花のほっぺを叩きながら、
「お~い、聞こえますか?もしも~し、もしも~し!?」

ちさと「はい!!オレンジの!!」

めぐみ「ありがとう!! 叶花、判る~!? えっと、呼吸は…あれ、体温は暖かいけどないっ!!」

ちさと「え~っ!?」

めぐみ「ちさと、ケータイの用意して!!」

ちさと「了解っ!!」

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めぐみ「口の中の異物はないから、すぐマウスピース※を口に当ててから、え~と顎を引いて鼻をつまんで」

叶花「んご…ご、ゴフっ」

めぐみ「…へ?呼吸反射?顎を戻しで心拍は…ある」

ちさと「…って単なる寝てるだけ?」

めぐみ「多分、眠剤の飲み過ぎで、一時的に無呼吸症候群になってた」

ちさと「え~っ!? じゃぁちょっと薬の数をもう1回数えて見る?」

めぐみ「数えなくていいよ。叶花~起きなさい!!叶花~!!起きろ~!!」

叶花「…んはぁ…、んん………あれ?…どうしたの?」

叶花の頬を思いっきり引っ叩く。

めぐみ「姪を心配させるんじゃないっ!!何でこんな時間に大量の薬のんでるのよ!?」

ちさと「前回の処方が10日分で月曜日、その5日後が今日だから…」

めぐみ「うわ…ちょっと、ちさとのそれ渡して。で、水持ってきてもらっていい?」

ちさと「うん。すぐ持ってくる」

めぐみ「え~と…一日ごとに仮にODしたとして…今日の残量は処方後だから…1回で○日分飲んだ計算!?」

叶花「…いや、あまりに眠れなくってね。さすがに幻覚やら幻聴が出だしてたから、ちょっと多く飲んだ」

めぐみ「もし○日分だったら、全然ちょっとじゃないんだけど?」

叶花「血中濃度と極量」を考えたら、さすがに3日分が限界だが?」

めぐみ「…3日分までは判って飲んだ?」

ってことは、前後健忘を起こしてる。更にせん妄が出てるからその間に更に眠剤と向精神薬を飲んでる。

ちさと「おね~ちゃん、お水持ってきた…よ?」

って、なんかお姉ちゃんが普段見せないくらいの厳しい顔をしてるし、叶花は不思議そうな顔をしてる。一体、何のやりとりがあったの??

めぐみ「あ、ちさと、ありがとう。…とりあえずそのお水を飲んだら話を聞きましょうか?」

叶花「あ?ああ。お水ありがとう。おお~キンキンに冷えてて美味しい」

ちさと「あれ…?何か変な臭いがするよ?う~んアンモニアに似てるけとちょっと違うような…?」

めぐみ「…あ、もしかして…。ちょっと叶花、そこからずれた場所に座りなおれる?」

叶花「うん、出来るが…あれ、なんか不快な感触が…」

めぐみ「あ~あ、やっぱり。あの甘くでちょっと大きい粒、結構いっぱい飲んだでしょ?あと、包装紙の表じゃなくて裏が赤いほうのも?」

叶花「はっ!もしかして!?」

めぐみ「…その「もしかして」よ」

叶花「…薬物性の溢流性尿失禁※、ってやつだ…またやっちゃったか…」

めぐみ「「また」ってことは結構頻度は多いの?」

叶花「まぁ…そんなに多くはないけど、何回かはある」

めぐみ「…まぁ、余程精神的に追い詰められていたらしいのは聴いたから、怒りはしない。それに…さっきの頬をひっぱたいたのはごめんなさい」

叶花「…いや、怒られて当然だよ。やっちゃいけないことをやったんだから…」

めぐみ「…それだけ判ってるんなら、十分だわ。じゃぁ、着替え持ってくるね。ちさとはこっちに来て」

ちさと「うん?なんか事情が飲み込めないけど?」

めぐみ「ちさとは知らなくていいことだから、リビングでテレビでも見てて」

ちさと「へ…?はぁい」

もし、これが叶花の「当たり前の生活」だったらとんでもない。自立支援どころか、確実に廃人になる。家の中の生活自体は、度々来てるからある程度は観察出来る。ちさとや真琴ちゃんの話を聞けば、絶対に人間的な生活とは思えない。

表面上では穏やかだけど、家族の結びつきからは、叶花は確実に外されてる。確かに、公的資金で生活は支えられている。夕ご飯くらいは作ってくれて食べてる。でも、会話は蚊帳の外。要は、お金では結びついていても、まともな心は殆ど存在していない。

これは、一種の「ネグレスト」※だ。

このままでいたら、叶花はもう普通に社会には戻れない、いや…何らかの介入がないと、社会に戻るきっかけさえ与えられない。

私はどうすればいいのか?どんな制度があるのかは、福祉の勉強をしてきたのだから、叶花の知っている量には私じゃ到底適わない。それでも、叶花は何も出来ないし、きっかけも掴めない。

めぐみ「はい、着替え持ってきたよ。お布団は外に干すとバレるから、ちょっと匂うかもしれないけど、ファブリーズとトイレの消臭剤で十分にごまかせるハズ。ウレアと分解しで出来たアンモニアは間違いなく消せるもんね。」

叶花「すまんなぁ、めぐみ…。姪にこんな事させて情けないわ」

めぐみ「何言ってるのよ。姪だから出来る範囲だよ、これって。ところで…親バレは?」

叶花「かなりの数はごまかしたけど…2~3回はバレてる」

めぐみ「え?バレてるの?…じゃぁ、どうして何の対策もないの!?」

叶花「…キチガイは世間にバレないように、閉じ込めておくか医者にいかせるかのどっちか位しかないだろう」

めぐみ「そっか…。じゃぁ打つ手なしにもなるわ」

叶花「さすが、めぐみは飲み込みが早いな。あたしゃ頭が良くないから何も出来んわ」

めぐみ「はぁ?…本当に頭が悪かったら「溢流性尿失禁」なんて言葉も判らないし、「アミトリプチリン」※を選択するなんてこと考えないでしょうに…」

叶花「とは言え、うちは4人中3人が教授だわ。違うのはあたしだけ。まぁ、めぐみという、医者や薬剤師を目指せる素晴らしいブレインが居るから、あたしが何とか追いついていってるようなもんだわ」

めぐみ「教授だからって頭がいいって訳じゃないでしょうに…」

叶花「でも、めぐみみたいな才能には憧れてるのは確かだぞ。あたしだけの発想じゃここまで発展できないし、少なくともドメイン争奪戦も、中南米と欧州の企業相手に競り勝つなんて芸当は出来んわ」

めぐみ「じゃ問題。アミトリプチリンの3つの適応症をあげて?」

叶花「抗うつ・夜尿症・筋痛症、だろ?まぁ…筋痛症じゃぁ、保険が効かないから他の病気がないと無理だがな…」

めぐみ「…どこの頭の悪い人が、それを解けるっていうのよ?しかも、3つが自分の適応症だって判ってるんでしょ?そんな受診科の違う3つで相乗りするようなことを考える人にバカはいません」

叶花「薬フェチなバカだっているでしょうに」

めぐみ「全く…そんなに理屈を並べられるのに、どうして自分を理解出来ないんだか…」

叶花「めぐみの言うのももっともだわ。あたしゃ自分が判らんよ」

めぐみ「それで「悩むなら眠って過ごそう」って眠剤をODするんだから、少なくとも「自分は考えすぎだ」位は判ってたんでしょ?まぁ…ついでに言えば、少なくとも、こんなところに居るのが嫌だ、まで行き着いてるんだから、手段はともあれ、ある一定の解決にはなったんでしょ?」

叶花「とはいえ…何も解決はしてないんだがな…。これは現実逃避って言うんだよ」

めぐみ「現実逃避…ねぇ。ま、逃げたくなることもあるでしょ、人間なんだから。逃げられないって思う一歩手前で、解決するのも人間の1つの能力なんだけどね」

叶花「つまり…追い詰められなければ、動けないことだってある、ってことか」

めぐみ「よく判ってるじゃない。そこまで判ってて何の手も打てないのかぁ…」

※マウスピースは接触しない人工呼吸が可能な物。原則として救命技能認定以上でないと使えない。
 私と叶花は上級救命技能の認定者で、叶花はキーホルダーにつけて常備している。
※溢流性尿失禁は括約筋が働かない状態で尿が滲出する現象。大抵が病的なもの。
※ネグレストは、育児放棄・看護放棄・介護放棄の総称。
※アミトリプチリンは最強の三環系抗うつ薬(トリプタノールなど)。

名跡めぐり(1) 泉岳寺

叶花「しかし…ちさとが「名跡」なんて古めかしくて難しい言葉を知ってるとは思わなかったわ…」

ちさと「あら、随分と失礼な事言ってくれるじゃん。こないだの試験で、古典と現国どっちも偏差値70超えたんだよ~」

叶花「ほぅ…それはよく勉強してるな…か、もしくは「歴女」のどっちかだ。まぁ、なにかご褒美でもせんとなぁ」

ちさと「あらま、なにか買ってくれるんだ~。で、リクエストの申告はいつあたりがいいかしら?」

叶花「ん~、今日(11/5)の道すがらで、これ!って言えばいいさ」

ちさと「わぁい♡学校サボった甲斐があった~♪」

叶花「…やっぱサボりかい。勉強に追いつかなくても知らんぞ?」

ちさと「まぁ、そんなことよりも…文章が多すぎ!!ってブログの読者に言われたし~、早く出かけようようよ~」

叶花「…何て、取ってつけたような理由なんだか。まぁいいが…確かちさとは「忠臣蔵」好きだよな?」

ちさと「うん!!赤穂浪士の勇ましさと忠義はやっぱり素敵だわぁ~。で、行き先と関係あるの?」

叶花「あるも何も「四十七士に会いに行く」ってのはどうだい?」

ちさと「ほぇ!?…どうやって会えるの?」

叶花「って…「名跡」が読み書き出来るなら、どこかは一発で判るはずだが…?」

ちさと「あ、泉岳寺だぁ!行く行く~!!でも…叶花、地下鉄は平気なの?」

叶花は、一種のPTSDで、一人で地下鉄に乗ると、かなりの頻度でパニック障害を起こす。駅職員に運びだされて、救急隊に搬送された事のある位の、かなり重度なパターン。叶花に聴いたけど、大抵の精神障害は、複数の要因と症状があるらしい…。

叶花「ま、こんなちっこくても…ちさとが居れば平気だろ」

ちさと「…あのねぇ「ちっこい」が無ければ同情位はするつもりだったけど…一発殴っていい?」

叶花「とゆうか、殴られるよりも同情のほうが痛い」

ちさと「へ?……あ、そうゆうことかぁ。これは私の発言が悪かったわ。ごめんなさい…」

叶花「ま、こう喋ってればもうすぐ駅につくわ。随分と時間が短く感じる」

ちさと「で、経由は?」

叶花「赤穂浪士の歩いたのと大体同じ流れ…かな」

ちさと「じゃあ、都営浅草線周りだねっ」

叶花「ってゆうか、それしかいい経由がない…」

ちさと「…都内なのに不便だね」

叶花「ま、そんなもんさ。あ、PASMO持ってるか?」

ちさと「定期PASMOあるけど、途中精算だよ?」

叶花「じゃほれ、チャージしてこい」

ちさと「え?いいの?…って野口さんだとお釣り出まくりだよ?」

叶花「ま、どっかでジュースでも買えばいいだろ、その位」

ちさと「そっか…。じゃ遠慮無くで。ありがとっ♡」

<泉岳寺に到着>

叶花「ほい、これが泉岳寺」

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ちさと「お~!渋くて雰囲気があって格好いいわぁ~」

叶花「だろ?この渋さに冴える白文字を見るだけでも来た価値があるってもんだ」

ちさと「叶花は来たことあるんだぁ~」

叶花「来た、どころか吉良邸から歩いてここまで来たぞ?」

ちさと「お~!!今度それやってみたいっ!!」

叶花「いいけど、寒いぞ~。さ、何月何日か判るか、現役の生徒さんよ?」

ちさと「もちろんっ!!12/14深夜~12/15午前でしょ?」

叶花「はい、よく出来ました。…テストには出ないけどな(苦笑)」

ちさと「う~ん、何でこんなに有名なのに出ないのか不思議」

叶花「有名すぎて脚色しまくりだから、史実に沿うのが難しすぎて無理なん。ほれ、それが首洗い井戸だ」
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ちさと「へぇ~ここで、吉良上野介の首を洗ったんだ~。でも何でここなのかな?」

叶花「本当にここで洗ったのかは微妙だが、瓦版が出て沿道が人で溢れかえるほどのセンセーショナルな出来事だったから、途中ではとっても洗ってられなかったんだろ」

ちさと「…納得」

叶花「ほい。早速、一番の功労者様がこちらにいるぞ」
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ちさと「大内蔵之介さんだ~。あれ…?45歳って思ってたよりもずっと若い」

叶花「これは数え年だから、今だったら満43歳…ってことになるね」

ちさと「ええ~!?ドラマだともっと年齢いってる俳優さんが演じてるよ~!?」

叶花「そりゃ、間違いなく切腹になるだけの覚悟があったんだから、今の若い俳優じゃ、迫力がなさすぎて演じるのは難しいだろう。何なら、あと46人の満年齢も見れば、もっと驚くさ」

ちさと「…当時の侍さんって凄いなぁ」

叶花「最後に、浅野内匠頭さんに会うと…考え方がかなり変わると思うぞ、多分…な」

ちさと「わぁ…平日なのに赤穂浪士の墓のお線香の量が凄~い!」
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叶花「それだけ、日本人は忠臣蔵が好きってことさ。まあ、英雄扱いなんだから当たり前だけどな」

ちさと「わぁ…みんな綺麗に並んで手入れもされてる~」

叶花「で、年齢はちゃんと見てたかい?」

ちさと「うん……みんな若すぎる」

叶花「で、最年少の大石主税さんがこちらだ」

ちさと「え、満年齢で16歳!?」

叶花「そ。でも元服後で扱いは大人だから切腹だ」

ちさと「…なんか、格好いいって言うより、勿体ないよ!!」

叶花「みんな、名跡と観光地を勘違いして賑わっているけど…墓石を見て回れば、単に英雄の言葉じゃ片付けられない」

ちさと「……だね」

叶花「「何で若い身空でこんな事した!?」って説教するか「手を合わせる」かはその人の自由」

ちさと「説教したい所だけど…でも、手を合わせるしか出来ないなぁ」

叶花「何で叶花が泉岳寺に連れてきたか、なんとなく判ったか?」

ちさと「……うん」

叶花「で、こちらが次に若い矢頭右衛門七教兼さんだ。本当は父ちゃんが討入りする筈だったけど病死。で、18歳の若さで加わったんだ」

ちさと「……なんか、すごく命が勿体ないよね」

叶花「でも…浅野内匠頭長矩さんへどれだけの忠義があったのかは、十分判るだろう。それに…吉良上野介がどれだけ憎いと思ったのを語るのがこの47個の墓石ではっきりと判るだろう」

ちさと「…すごく無念だったんだ…」

叶花「じゃあ、それだけ慕われた浅野内匠頭さんに会ったら、ゆっくり散歩しながら品川駅まで行こうか」

ちさと「うん。私も色々考えてみたくなった。」
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叶花「こちらの方が浅野内匠頭さんだ。即日切腹だったこの方も辛かっただろうけど…これだけ慕われた赤穂浪士に囲まれているのだからまだ幸せ…と取るか、事をこれ以上荒立てるでない!と生きていたら説教してたと考えるかも、感じ取った人の自由だ」

ちさと「叶花の視点って…なんか、捉え方が幅広いけど…どこか暖かい」

叶花「そうかい?上司やってたから判るけど、こんな風に部下の墓石に囲まれたら、あたしなら悲しいだけさ。それだけのこと」

ちさと「それに…、叶花は墓石の前でも、何かちゃんと生きています、って感じに丁寧に紹介してくれたし、絶対に「見る」じゃなくて「会う」って言ってた。私だったら…そんなに気持ちのいい案内は出来ないな…」

叶花「ま、それも人それぞれ。ちさとは、正しいと信じる道を選ぶ、それだけのこと」

ちさと「うん。これからはそう考えるようにする…で、いいのかな?」

叶花「ああ、それで十分に上等だ。さ、じゃあ駅までゆっくり散歩だ」

ちさと「うんっ」

<泉岳寺~品川駅>

ちさと「そういえば…お婆ちゃんに聴いたんだけど…お墓の話」

叶花「うちの墓?…ああ、大体どういう事か判った」

ちさと「線香にタバコを添えて、お盆の墓参りなんて初めて聴いた」

叶花「はははっ、そのせいでしばらくはお盆参りは禁止されたけどな」

ちさと「でも…何でタバコ?ひいお爺ちゃんが好きだったから?」

叶花「ま、そんな所。だから、わざわざひい爺ちゃんの好きだったゴールデンバットとECHOを買って、一口だけ飲んで線香の横にお供えしたのさ。銘柄指定で好きだったって聴いたら、たまには孫が「買ってきてやったぞ」っていうのもアリだろ?」

ちさと「そうゆうトコ、すごく叶花らしい。まさか、孫が30年後におつかい行ってきたぞ~、なんて聴いたことないよww」

叶花「まぁ…その結果、お盆の墓参りは6年間禁止されたけどね」

ちさと「厳しい人だったら、間違いなく「不謹慎だ!」って言うよね」

叶花「そのかわり…解禁された夜に、墓の前で2つタンブラー置いてウイスキー注いで…1つはあたしがぐいっと飲んで、もう1つは「まぁ、好きな時に飲んでくれや」って置いて、残りは…折角の宴会だから浴びるほど飲んでくれ!!って墓石に注いだww」

ちさと「…うわぁ、それまた大胆な事を」

叶花「あたしが爺ちゃんに「タバコだけで満足だろ?」で済むと思うかい?」

ちさと「叶花だったら、タバコだけじゃあ物足りないかもww」

叶花「もっとも、タバコは両切り…つまりフィルターがついてないから、葉巻でも咥えているような人でなけりゃ…まぁ、その場でぶっ倒れるだろうね。ちなみに、ウイスキーはサントリー・オールドのストレートで、タンブラーになみなみ、ぐい~っと、ね」

ちさと「タバコの威力は、私じゃさすがに判らないけど…どれだけ強いのかは何となく判る。でも…ウイスキーをタンブラーで一気飲みって、それ…大丈夫なの?」

叶花「ちさとがそれやったら、むせるどころか…ゲロるんじゃないかな?」

ちさと「なんかキチャナいけど、常識的でないのは判った…」

叶花「それに、万が一卒倒しても…お盆ってことは夏だから、朝に目覚めて「今、何時だ?」って言うくらいで済むでしょ。蚊には刺されまくりそうだけどな(苦笑)」

ちさと「う~ん、そうゆう弔い方もあるだろうけど…すぐ次にお墓に入る番にはならないでね?」

叶花「まぁ、坊さんが第一発見者じゃ洒落にならんわな」

ちさと「ってか、叶花の発言のほうがシャレにならないレベルだけど…」

叶花「そりゃそうだww、ってもうすぐ品川駅だよ。ちさと、楽しみにしてな~」

ちさと「楽しみ??なんかアミューズメントなのでもあるの?」

叶花「アミューズメント施設がいいって言うなら水族館があるけど?」

ちさと「ん~、水族館はもういいかな?叶花と一緒だといつでも無料でいけるし…」

そういえば、叶花は精神障害者で手帳もあるから、都営の水族館や動物園はいつでも無料で一緒に行ける。デートみたいな気分だけど、位置づけは「障害者と随伴者」。楽しいし、いつもおみやげショップで色々買ってくれるけど…、普通の彼氏と彼女のデートとは、やっぱりなんか違う。雲丹スパゲティは美味しいけど…。

叶花「じゃあ、迷わず「エキナカ」だな。エキュート品川は狙い目。エキナカの前にも誘惑はいっぱいあるけどね」

ちさと「あ「エキナカ」かぁ!!それは楽しみっ♪」

叶花「もしお腹が空きまくってるのなら「品川丼」っていうレアアイテムもあるけど」

ちさと「品川丼?」それって「深川丼の親戚」みたいなもん?」

叶花「どっちかというと高田馬場の「山田丼」の親戚、かな?」

ちさと「かき揚げに天つゆたっぷりな感じの?」

叶花「それにシーフード(主にイカゲソ)を加えたもの」

ちさと「山田丼」は大好きだけど…なんか今日の気分じゃないかな?

叶花「じゃ、エキュート中心だな」もし、もっと早く気がついてたら、真向かいの「つばめグリル」でも予約したんだけど…」

ちさと「銀座にもある…あれ?一度食べたら絶対にハマるよね~」

叶花「そ。それの本店がここ。あと支店は新宿にもあるよ」

ちさと「うん、じゃぁ…私とまこちゃんと沙奈ちゃんとお姉ちゃんで誕生日にゴチになってもいい?」

叶花「ああ、いいぞ」

ちさと「あ、でもお金大丈夫?」

叶花「女の子の食べる量ならたかが知れてるさ」

とはいうものの、みんな誕生日が微妙に重なってる。真琴6/10、ちさと6/11、沙奈6/13、めぐみ6/18…。ある意味、お年玉の出費と同じくらい悩みそうな感じ…。

ちさと「あ、成城石井だぁ♡寄って行ってもいい?」

叶花「さすが目ざといな…。エキュートにつくまでで荷物が重くなりそうな気が漂ってくる…」

ちさと「瓶詰め・缶詰みたいに重たいのは買わないから大丈夫だよ~。それに今飲むジュースぐらいな物だし…」

叶花「ちょい待った。飲み物はエキュートまで我慢するのがオススメだよ」

ちさと「ふぅん…?じゃぁクッキとかチョコレート位かなぁ…」

叶花「チョコは板チョコならいいけど、トリュフチョコはちょい待った」

ちさと「へ?…エキュートってそんなに凄いの!?」

叶花「入れば判るさ~。じゃぁPASMO持ちな~、一度改札に入るぞ。」

ちさと「うんっ!」

で…ここで西側に歩くと…

「ちさと」わぁ!!デパートみたいな出入口~!!

【重要】 呼称・商号・登記について

お気づきの方はいらっしゃるかもしませんが(って、そんなちっぽけなことはどうでもいい、が普通)、色々と手続きが変わったので、色々と説明させて頂きます。ということで…

叶花「ほい、CEOさんよ、ちゃんとご挨拶してな」

さなな「はい。この度、登記上の名称及び商号変更・サイト群の名称統一を致しました」

叶花「あとは、ちゃんとこのカンペを体裁を直して説明ね」

「旧称:さななぷろじぇくつ」は、以前より度々名称を重ねておりましたが、紛らわしい呼称が多くあった為、混乱されたケースが何度もありましたが、複数のドメインの呼称の一括、登記、及び人事を11月1日付けで変更いたしました。

当初は、叶花が10年以上前にサイトを開設・ドメイン取得を致しました。以前のアドレスは「http://sana.jp.org」というアドレスを所有し、「さなのおへや」としていた時代もありましたが、Webサイトのアドレスの区分をご存知な方でしたら、セカンドドメインどころか、誰でも名乗ること自体は難しくない、一般のWebサイトと同様のいわゆる「サブドメインのうちの1つ」でしかありませんでした。

しかし、多くの情報を配信する上では、明らかに「名称」として不足であったのをきっかけに、限定的とはいえコンテンツプロバイダー機能を取得することに併せまして、現在の「さななねっと」http://sanana.net/が当社の中枢となりました。私、来宮沙奈自身の学業優先の事由と、叶花の仕事の繁忙もあり、大きく拡張する必要は全くありませんでした。

しかし、2011年に大きな変革期を迎え、大きな拡張及び自身での管理が可能になるようにするべく、新たに商号とドメインと大規模なサーバーを取得しました。商号については、以前に叶花が有限会社として登記をしていたために「サナナネツト」と正式に登記上の社名を変更致しました。

また「MISATO System」及び「SANANA PROJECTS」の両方の商号を使い分けておりましたが、それでは名称の上では親会社・子会社という扱いとなってしまい、諸手続きの度に使い分けるもしくは書き換える必要に迫られてしまいました。そこで、旧:MISATO Systemを完全子会社化にするべく「ミサトシステム」で登記を行う予定で「MISATO SYSTEM」と改称しましたが、会社法をご存知な方でしたら、現在は新たに「有限会社」を名乗ることが出来ないという問題になり、個人商店とするか、株式会社化するかで幾度と無く議論を重ねて参りました。

もし、個人商店であれば子会社ではなく「系列会社」もしくは「別会社」という扱いになってしまい、同じ人事にも関わらず、全くの別業務どころか別業種になってしまう為、廃案。また、株式会社として業務を続ける手段もありましたが、その場合は親会社と子会社が入れ替わってしまうという、コンテンツプロバイダー自体が主体業務ではなくなってしまう逆転現象になってしまう為に、こちらも廃案になりました。

結果的には「MISATO SYSTEM」は完全に「SANANA PROJECTS」に吸収合併、「SANANA NET PROJECT」に改名し、機能の統合及び、用途別のサイトに誘導する形式となりました。

なお「MISATO SYSTEM」の名称自体は、「SANANA NET PROJECT」のメインフレームやサーバーの特殊管理時に使用されることで、残存することになりましたが、組織自体は解散いたしました。全てのサイト内の名称の記述を変更する事は、もう少々お時間を頂きますが、ご承知のほどよろしくお願いいたします。

もちろん下記URL
http://sanana.net/
http://sanana.jp/
http://sanana.org/
http://sanana.asia/

は今後とも継続いたしますので、今後ともご愛顧のほど宜しくお願いいたします。もし、疑問点や詳細については、一連のWebサイト内にメールフォームを設置しておりますので、ご遠慮なくお寄せ下さい。

「叶花、これでいいかな?」
「ああ、十分すぎだろう。ちゃんと「CEOからのご挨拶」と「人事刷新」にまとめるから、安心してくださいな。

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